省エネ計算のコラム
一次エネルギー消費量とは?省エネ住宅を建てる際の基準を解説
一次エネルギーの消費量を正確に理解して正しく計算することは、省エネ設計を成功させる第一歩です。この記事では一次エネルギー消費量の基本的な知識から具体的な計算方法、さらに計算するメリットまで分かりやすく解説します。
建築家や設計士、さらに省エネを重視する人に向けて、効果的な省エネ住宅の設計に役立つ情報を提供します。この記事を通じて、一次エネルギー消費量の全体像を把握し、持続可能な建築設計の実現に向けた理解を深められるでしょう。
一次エネルギー消費量とは
簡単に説明すると、住宅などが1年あたりに消費するエネルギー量のことを一次エネルギー消費量といいます。これを算出する際は、給湯や照明、冷暖房、換気設備など、建物の設備機器すべての消費エネルギーを合算する必要があります。
省エネ住宅を建てるために、一次エネルギー消費量の基本的な知識をおさえることから始めましょう。まずは一次エネルギー消費量の定義、その分類、そして二次エネルギーとの違いについて解説します。
一次エネルギーとは
一次エネルギーはわたしたちの日常生活や産業活動に不可欠な原動力です。一次エネルギーとは、加工や変換を経ていない自然界のエネルギー源から直接得られるエネルギーのことを指します。例えば、石油、石炭、天然ガス、水力、太陽光、風力などがこれに該当します。
これらのエネルギー源は、そのままの形で利用されることもあれば、電力や熱など別の形態のエネルギーに変換されることもあります。環境保全と経済発展のバランスを考慮しながら、これらの一次エネルギー源を効率的かつ持続可能な方法で利用することは、現代のエネルギー政策において重要な課題となっています。
一次エネルギー消費量の分類
一次エネルギー消費量は、その消費される状況や目的に基づいて、主に以下の5つの項目に分類されます。
- 冷暖房:住宅や建物における空調によるエネルギー消費
- 換気:空気の質を維持するためのエネルギー消費
- 照明:室内照明や外灯に必要なエネルギー消費
- 給湯:お湯を沸かすためのエネルギー消費
- その他:家電など住宅設備以外によるエネルギー消費
また、一次エネルギー消費量の多くを占めるのは冷暖房と給湯です。これは、どちらも熱を生み出すために大きなエネルギーを使うことに起因しています。
一次エネルギー消費量削減には、これらの設備を省エネタイプにするほか、冷たい外気を室内の暖かさに近付けてから取り込むことのできる熱交換換気装置の導入などの工夫が効果的です。
二次エネルギーとの違い
二次エネルギーとは、わたしたちが日常で使いやすい形に一次エネルギーを変換したエネルギーのことです。例えば、一次エネルギーである原油から作られる二次エネルギーがガソリンや灯油です。
その他にも、二次エネルギーには電力、プロパンガス、都市ガスなどがあります。いずれも、最終的に消費者が使う形に一次エネルギーを転換したものが二次エネルギーです。
一次エネルギー消費量の基準
一次エネルギー消費量の基準は、建築物のエネルギー効率を適切に評価し、環境への影響を考慮した設計を実現するための土台にもなるものです。
とくに一次エネルギー消費量の基準は、建築主が取り組むべき省エネルギー性能向上の目標を具体化します。あらゆる建築物の省エネ基準適合を目指す際に、断熱性能の高い材料選びや効率的なエネルギーシステムの導入が必要不可欠です。
建築士がこの基準に基づく設計を行うことで、エネルギー消費を抑制し、環境に配慮した快適な住環境を提供できるようになるでしょう。
基準一次エネルギー消費量とは
基準一次エネルギー消費量は、建物の省エネ性能を測定するための基準値として設定されており、設備毎、地域毎、室用途毎により条件が定められています。
この基準値は建築物が達成すべきエネルギー効率の目標を定め、ZEHの実現に向けた設計において重要なポイントのひとつです。
BEIは設計された建物のエネルギー効率を評価するための数値指標で、設計一次エネルギー消費量を基準値で割って得られます。BEIの値が1.0以下であれば、省エネ基準を満たしているということになります。
設計一次エネルギー消費量とは
設計一次エネルギー消費量は、建築物の設計段階で計算される一次エネルギー使用量を指します。具体的には、暖房、冷房、照明、給湯などの設備のエネルギー使用量を算出し、それらを合算して求められます。
この指標は建物のエネルギー効率の高さを測定し、省エネ基準やZEH基準への適合性を評価する上で重要です。効率的なエネルギー使用により、環境への影響を最小限に抑えつつ、運用コストの削減も期待できるため、持続可能な建築設計の実現に不可欠な要素となっています。
一次エネルギー消費量を計算するメリット
一次エネルギー消費量の計算は、省エネルギー設計の基盤となります。一次エネルギー消費量を計算すると、建物のエネルギー使用効率を正確に把握し、エネルギー消費の最適化を図りやすくなるでしょう。
省エネ性能の向上は、環境負荷の低減だけではなく、長期的なコスト削減にもつながり、持続可能な建築の実現につながるなどのメリットがあります。次にこれらのメリットについて具体的に解説します。
顧客に対して説明しやすくなる
一次エネルギー消費量の計算は、顧客への省エネ性能の説明を容易にします。特に省エネの改正により2021年4月から省エネ性能の説明が義務化された現在では、一次エネルギー消費量の計算は不可欠です。
建物のエネルギー効率を数値で示すことで、具体的かつ透明性の高い情報提供が可能になり、顧客の理解と信頼を深められます。このアプローチにより、省エネルギー設計の重要性を顧客に効果的に伝えられるようになります。
省エネ性能に対する理解が深まる
一次エネルギー消費量の計算は、省エネ性能に関する理解を深める上で重要な役割を果たします。具体的な数字を示すことで、どのようにエネルギーが使用され、どの程度効率化ができるのかを把握できるようになります。
そのため、設計者や施主はより環境に優しく、コスト効率の高い建築を選びやすくなるでしょう。
一次エネルギー消費量の計算方法
建物のエネルギー効率を精密に評価し、省エネ性能を高めるため、一次エネルギー消費量の算定が重要です。
この計算では住宅内の設備機器を5つの主要カテゴリーに分けて一次エネルギー消費を算出します。具体的には、暖房、冷房、換気、給湯、照明といった各設備のエネルギー使用量を計算し、太陽光発電などのエネルギー生成設備による削減効果も考慮に入れます。計算式は次のとおりです。
一次エネルギー消費量 = 各冷暖房設備の消費量 +換気設備の消費量 + 給湯設備の消費量 + 照明設備の消費量+ その他設備の消費量 - エネルギー効率化設備の削減量
この方法により、建築物全体のエネルギー効率が明確になり、省エネ設計への具体的な道筋が示されます。また、建築物のエネルギー消費性能評価や消費量の最適化にも寄与します。
面倒な計算を簡単に行うには
一次エネルギー消費量の計算は手間がかかるので、計算を簡素化するには、インターネット上で利用できる計算ツールや専門業者に代行を依頼する方法があります。
これらの手段をうまく活用すれば、正確かつ迅速に必要なデータを得られて、効率よく省エネ設計できるようになります。
ネット上のプログラムを利用する
インターネット上には、一次エネルギー消費量の計算を手助けするプログラムが数多く存在します。これらのツールを活用すれば、複雑な計算を簡略化し、時間と労力を節約できます。
利用者は正確なデータを迅速に入手でき、省エネ設計をよりスムーズに進められるようになるでしょう。
専門の業者に代行を依頼する
一次エネルギー消費量の計算について、正確性と効率性を重視するなら、専門業者への代行依頼をおすすめします。代行を依頼すると、計算に精通した専門家が最適な省エネ設計を提案し、計算経験が少ない方でも安心してサポートを受けられるでしょう。
おすすめの省エネ計算代行業者
省エネ計算の代行を検討する場合は、信頼できる業者を選ぶことが大切です。代行業者として特におすすめなのが、省エネ計算に特化した専門性の高いサービスを提供するワールドシェアセリングです。
ワールドシェアセリングは一次エネルギー消費量の計算だけでなく、省エネ性能の向上を目指す建築物の設計から運用までをサポートします。最新の法規制に対応した省エネ計画を提案し、建築主や設計者のニーズに合わせた最適なソリューションを提供しています。
エネルギー消費性能の評価や、エネルギー消費の最適化に関する豊富な知識と実績があるので、顧客の省エネルギー設計を強力にバックアップするでしょう。
省エネ住宅の基準を満たすためには、外皮性能も考慮する必要があります。こちらでは、注文住宅の外皮性能を計算する方法について解説します。併せてご覧ください。
まとめ
省エネ設計は、昨今の建築では重要な意味を持っています。一次エネルギー消費量の計算は、その基盤を築く上では不可欠であり、正確に計算すると、建築物のエネルギー効率の最適化と環境への配慮が可能となります。
一次エネルギー消費量の計算を簡単に、かつ正確に行うために、専門のプログラムを利用したり、業者に代行依頼したりする方法があります。確かな実績があり、信頼できる業者に代行を依頼すると、省エネ性能の向上だけでなく、法規制にも対応した計画を策定でき、建築主や設計者のニーズに合った最適なソリューションを提供してくれます。
省エネ住宅を目指す方々にとって、当社のサービスは省エネルギー設計を効果的に進めるための強力なサポートとなるでしょう。一次エネルギー消費量の計算は、ぜひワールドシェアセリングにご相談ください。
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