【自治体・事業者向け】簡易トイレの備蓄数目安は?選び方のポイント

【自治体・事業者向け】簡易トイレの備蓄数目安は?選び方のポイント
各家庭で非常時に備えた備蓄が呼びかけられています。自治体や事業者では、非常事態が起こったときに従業員や地域住民を支えるため、一般家庭以上の備蓄が求められるといえるでしょう。 特に注目したいのが、簡易トイレです。 ただ、どの程度を目安にして簡易トイレを準備しておくべきかわからないとなかなか準備できません。 そこで、この記事では簡易トイレの備蓄数の目安や簡易トイレ選びのポイントなどを解説します。正しい使い方や、他に注目しておきたい備蓄についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

簡易トイレとは

そもそも簡易トイレとはどのようなものかというと、水を使うことなく、し尿の処理ができるトイレです。災害時だけではなく、介護用、キャンプや登山などのレジャー用として活躍しています。 持ち運びできる小型のタイプや、組み立て式のものなどがあります。簡易的ではありますが便座・便器があり、便器内にたまったし尿は凝固剤を用いて固めたり、乾燥させてから焼却したりして処理するのが特徴です。 そのため、簡易トイレを用意する際はトイレ本体だけではなく、凝固剤と処理用の排せつ袋を十分な数用意しておかなければなりません。 基本的に排せつ袋は使うたびに処分して新しい袋と交換することになります。 いつ、どのような理由で必要になるかはわからないので、万が一に備えて簡易トイレを準備しておきましょう。

簡易トイレの備蓄数の目安

簡易トイレを備蓄量はできるだけ余裕を持って準備しておきましょう。一つの目安として、大人が一日にトイレに行く平均回数は5回です。 災害時用に備蓄をする場合は最低でも3日以上、可能であれば7日分は備蓄しておくべきとされています。そのため、仮に従業員が10人の事業所の場合、最低でも150回分(1人5回×10人×3日)、可能であれば350回分(1人5回×10人×7日)が目安です。 この150回分350回分というのは、簡易トイレを使用するにあたり必要になる排せつ袋、凝固剤や凝固シートの個数です。排せつ袋を入れておく防臭袋についても考えなければなりません。 家族で使用する場合、簡易トイレ自体の数は一つで足りるケースが多いものの、従業員などの多い事業者で備えておく場合はトイレ本体も多めに用意しておいたほうが良いでしょう。 災害時は自宅避難に切り替える従業員が出ることもありますが、反対に自宅で避難ができず、会社に避難してくる従業員がいることも考えられます。また、自治体の場合は避難所として活用されることもあり、利用者の人数がはっきりしないことも少なくありません。 そのため、余裕を持って十分な量を備蓄しておくことが求められます。

簡易トイレの備蓄が必要な理由

簡易トイレの備蓄が必要とされる主な理由は、被災直後にトイレが使えないことや、ライフラインの復旧に時間がかかることです。それぞれ解説します。

被災直後はトイレを流せないため

被災直後はトイレを流せません。建物そのものは無事に見えても下水や配管などにトラブルが起きていることがあるからです。 その状態でトイレを流すと、詰まったり、溢れたりする可能性があります。 建物の2階以上でトイレの水を流してしまった場合、下の階にある部屋のトイレが溢れてしまう恐れもあるので、自己判断で大丈夫だろうと考えて流さないようにしましょう。 特に、震度6弱以上の地震または浸水が発生した際は注意が必要です。 「会社のトイレが使えなくなったら近くのコンビニに駆け込めばいい」と考える方もいるかもしれません。ですが、大規模な災害発生時はコンビニのトイレも同様に被害に遭うことになるので、基本的に使用できません。 こういった場合にも役立つのが簡易トイレです。被災直後でも慌てることなく対応できるでしょう。

ライフラインの復旧には時間がかかるため

水道はトイレの使用に不可欠なライフラインであり、復旧しなければ通常のトイレは使えません。一時的にトイレが使えなくなったとしてもすぐ復旧すれば問題ありませんが、ライフラインの復旧には時間がかかります。 また、単純に水道が出るようになればトイレが使えるのかというと、そうではありません。水栓トイレの場合は、給水ができても排水に問題がある場合は使用できないからです。 排水管が外れたなどトイレに物理的なトラブルが起こった場合だけではなく、さらに、下水道や処理施設、浄化槽に不具合がある場合も、排水に支障をきたす恐れがあります。 たとえば東日本大震災で発生した断水の戸数は、19都道県、264水道事業者で約257万戸です。さらに復旧まであと少しの段階で大規模な余震があり、復旧が伸びてしまう事態となりました。[1] 断水期間を見てみると、特に長かったのが岩手県で43日、福島県で49日、宮城県で59日です。[2] 2か月近く断水が続いた時期があることを考えると、トイレが長期間使用できない事態も想定しておく必要があります。 特に大きな災害が発生した場合はライフラインがなかなか復旧しないので、万が一に備えて簡易トイレを用意しておきましょう。 [1]

参考:(PDF)厚生労働省:東日本大震災水道施設被害状況調査の概要[PDF]

[2]

参考:(PDF)国土交通省:東日本大震災水道施設被害状況調査最終報告書(平成25年3月)第1章.全国の断水状況と被災地の支援状況[PDF]

簡易トイレを選ぶ際のポイント

簡易トイレを選ぶ際は、トイレのタイプと消臭・防臭対策の有無、使い方の簡単さに注目しましょう。それぞれ解説します。

簡易トイレのタイプ

簡易トイレのタイプは、大きく分けて備え付けのトイレに設置するタイプと、簡易便座がついているタイプの2種類です。可能であれば、どちらも用意しておくと良いでしょう。

簡易便器つきタイプ

簡易便座がついているタイプは、トイレ本体が使えない場合や、トイレの安全性が確保できない場合にも利用できます。組み立て式の便器に排せつ袋をセットして使うものです。 ただ、簡易便座がついている組み立て型の簡易トイレは便座が通常のトイレよりも低くなるものが多く、慣れていないと使いにくさを感じさせます。 足腰の弱い高齢者は特に苦戦することが多いようです。

設置タイプ

備え付けのトイレに設置するタイプで、携帯トイレとも呼ばれます。普段通りに水を流して使うわけではないので、断水している場合でも使用可能です。 普段使用しているトイレの安全が確保できている場合は、いつも通りの感覚で使用できるので使いやすいでしょう。 実際の利用を想定し、簡易便器つきタイプ・設置タイプのうち適した方のタイプまたは両方を用意しておくことをおすすめします。

消臭・防臭対策の有無

災害時などはゴミの収集もストップしてしまうため、処理した汚物の消臭・防臭についても考えておかなければなりません。 基本的に、消臭・防臭は凝固剤と防臭袋で行うことになります。凝固剤は尿や便の水分を吸収するためのものですが、製品によっては消臭効果がなく、ただ固めるだけのものもあるので確認しておきましょう。 消臭・防臭に加えて防菌効果を持つ凝固剤もあります。ただ、高性能なものだとそれだけ価格が高くなってしまうので、量を用意するのが難しいと感じる場合は防臭袋に注目しましょう。 通常の袋だとはにおいが漏れてしまいますが、防臭袋は特殊な加工がされており、外ににおいが漏れにくくなっています。凝固剤と防臭袋はどちらも余裕を持った数を準備しておきましょう。

使い方の簡単さ

簡単に使える簡易トイレを選ぶことも重要です。 組み立てに時間がかかるものや、排せつ袋の設置が面倒なものは緊急事態に使用するのに向いていません。小さな子どもや高齢者でも使いやすい仕組みの簡易トイレを選びましょう。

簡易トイレの使い方

簡易トイレの基本的な使い方を確認しておきましょう。以下の4つのステップで使用していきます。

①便座にカバー用の袋を被せる

建物に備え付けのトイレに取り付けて使う設置タイプの場合、便座カバーを持ち上げてポリ袋を便器に被せてからカバーを下ろします。 これは、便器内にある水で携帯トイレの袋が濡れるのを防ぐためのものです。便座カバー用のポリ袋は汚れない限り交換せずに使用することになります。 ガムテープなどで外れないように便器に固定しておくと良いでしょう。また、いつもの癖でうっかり水を流してしまわないように、水洗レバーも動かないようにテープで固定しておきます。

②便座に排せつ袋を被せる

便座の上から排せつ用の袋を被せます。きちんとセットされているか確認したうえで用を足しましょう。

③凝固剤を利用する

凝固剤をふりかけて固めます。使用済みのトイレットペーパーなども排せつ袋に入れて起きましょう。 なお、凝固剤によっては用を足す前に入れることを推奨しているものもあるので、製品の指示に従ってください。

④排せつ袋を結び廃棄する

用を足し終えて凝固剤で固めた排せつ袋をしっかり結びます。結び方が甘いとにおいが漏れやすくなるので注意しましょう。 災害時はすぐにゴミ収集が行われないので、使用済みの携帯トイレを置いておく場所に設置する消臭剤を用意しておくのもおすすめです。 簡易便器つきタイプに関しても②以降のステップは同様です。以上のステップで簡易トイレを使用してください。

簡易トイレとともに備蓄しておきたいもの

簡易トイレを快適に利用するにあたり、トイレ本体以外にもいくつか用意しておきたいものがあります。トイレに関して最低限用意しておきたいのは以下の4つです。 【用意すべきもの】
  • トイレットペーパー
  • ランタンまたはヘッドライト
  • 大きめのポリ袋
  • ウエットティッシュ
  • 防臭袋
  • 使い捨て手袋
排せつ袋や凝固剤を十分に備えていても、トイレットペーパーがなければ使用に支障が出ます。トイレットペーパーは腐るものではないので、余裕を持って準備しておきましょう。 また、夜間にトイレに入る時のことを考えると、ライトが必要です。懐中電灯など手に持って使用するものではなく、安全のためにもランタンやヘッドライトなど両手を空けておけるものを用意しておくことをおすすめします。 設置タイプの簡易トイレではカバー用の袋を便座カバー下に取り付けることになりますが、小さなものだと設置が大変です。45リットルのポリ袋など、大きなものを用意しておきましょう。 また、災害時などは断水してしまうことがあり、手が洗えない可能性も考えられます。衛生面のことを考慮して、トイレの後に使用可能なウエットティッシュを用意しておきましょう。 それから、用を足して口を結んだ排せつ袋は、防臭袋に入れることでにおいを抑えられます。こちらも十分な数を用意しておくのがおすすめです。 使用済みの排せつ袋を処理する際は、使い捨て手袋を使って衛生的に使用してください。 これらを準備しておくことで、簡易トイレを快適に使用しやすくなるでしょう。いざ簡易トイレを使用する場面になってから準備が不足していたとなると大変です。しっかり備えておきましょう。

自治体や事業者ができる対策

家庭用であれば簡易トイレでも万が一の備えになりますが、自治体や従業員数の多い事業者では、十分な備えとはいえません。特に不特定多数の方が使用する場合、それぞれが排せつ袋を設置して凝固剤を入れてから袋を処理する、といったステップを確実に行ってもらうのはなかなか難しいでしょう。 災害時に備えておきたいのであれば、設置・移動・撤去が楽な仮設トイレも利用を検討してみてはいかがでしょうか。 ワールドシェアセリングでは、従来の仮設トイレが抱える問題を解決した快適トイレをご用意しています。においの問題をしっかり対策しているのはもちろんのこと、内装・外装がきれいでウォシュレットも使用可能な洋式便座タイプの仮設トイレです。 NPO法人日本トイレ研究所が基準を満たしている仮設トイレを認定する制度において、最高ランクである2つ星を取得しています。必 要な際に手早く施工・提供が可能なので、ぜひご相談ください。自治体・事業者用の備えとしておすすめです。

万が一のためトイレの備えは必要

いかがだったでしょうか。今回は万が一に備えるために確認しておきたい簡易トイレの備蓄について解説しました。 備蓄数の目安や簡易トイレを用意しておくにあたり、押さえておきたいポイントがご理解いただけたでしょう。トイレは災害時であっても我慢が難しいので、しっかりと備えておくことが大切です。 ワールドシェアセリングで取り扱っている快適トイレは、災害時はもちろん、お祭りや各種イベント、工事現場などで利用されています。災害発生時にトイレはすぐに汚れてしまうイメージがありますが、衛生的で快適に使えるトイレについて検討したい方はぜひご相談ください。

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