省エネ計算コラム

長期優良住宅とBELSの違いを比較!それぞれのメリットとは

長期優良住宅とBELSの違いを比較!それぞれのメリットとは

長期優良住宅やBELSは、住宅や建物に対してそれぞれ設けられた一定の基準をクリアしているという、性能評価の証明となります。

この記事では、長期優良住宅とBELSの違いを知りたい方に向けて、基準やメリットを解説しています。具体的な違いを理解して、長期優良住宅とBELSへの理解を深めてください。

長期優良住宅とBELSの概要

長期優良住宅とBELS、それぞれがどういったものかを解説をします。まずは概要を把握して、どのような特徴があるか確認してください。

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは長期に渡って快適に住める証として、平成21年に施行された「長期優良住宅認定制度」の認定を受けた住宅です。認定には、バリアフリー性や耐震性、省エネルギー性など、9項目の幅広い基準を満たす必要があります。

長期優良住宅は住み心地がよいだけでなく、高い耐震性を持つなど環境にも配慮した基準を満たしています。そのため、低金利で住宅ローンを組めたり、固定資産税の減税期間を延ばしたり、補助金が活用できるといった優遇措置も受けられます。

BELSとは

BELSとは、住宅の省エネ性能の高さを証明する制度です。BELSの名称は「建築物エネルギー性能表示制度」を表す「Building housing Energy efficiency Labeling System」の頭文字をとっており、第三者評価機関によって審査および評価が行われます。

BELSの表示は7つ星を最高として、住宅の省エネ性能を7段階に分けたものです。希望するとプレートやシールも発行でき、わかりやすくエネルギーの削減率や建物のレベルの証明ができます。

ZEHの目標は、消費する一次エネルギーと創出されたエネルギーが相殺できる、環境にやさしい住宅をつくることです。こうした目的の違いから、BELSよりも省エネの基準は高くなっているといえます。

長期優良住宅とBELSの違いを比較

長期優良住宅は、長期的に使用できる設備や構造であることや周辺環境への配慮を証明するのが目的で、BELSはエネルギーをいかに削減できているかの表示および証明が目的です。

この項では、長期優良住宅とBELSの違いについて、それぞれの認定基準やメリットから解説していきます。

認定基準

長期優良住宅とBELSの違いとしては、まず認定基準があります。前述のとおり、長期優良住宅は幅広い観点から住宅を評価するのに比べ、BELSは省エネに特化しています。

異なる認定基準の詳細は、以下のとおりです。

長期優良住宅の認定基準

長期優良住宅に求められるのは「長期にわたり、良好な状態で使用できる構造」です。そのためには、整った設備のほか、周辺環境への配慮や維持や改善の計画を立てられるかどうかも重要となってきます。

長期優良住宅認定制度で定められている基準は、具体的には以下の9つです。

  1. 1. バリアフリー性(今後のバリアフリーリフォームへの対応も含む)
  2. 2. 間取りなどの可変性
  3. 3. 耐震性(階数が2以下の木造建築物等 で壁量計算による場合、耐震等級3)
  4. 4. 省エネルギー性(断熱等性能等級5かつ 一次エネルギー消費量等級6)
  5. 5. 劣化対策(劣化対策等級3相当、330mm以上の床下空間を確保)
  6. 6. 住戸面積(1フロア40㎡以上、一戸建ての場合75㎡以上)
  7. 7. 居住環境(地域の景観、居住環境の維持や向上)
  8. 8. 維持保全計画(定期的な点検と補修)
  9. 9. 維持管理・更新の容易性
これらの基準を満たすと、長期優良住宅として評価されます。

BELSの認定基準

BELS評価は、実際の建物の大きさや設備から算出した「設計一次エネルギー消費量」を、地域や用途によって定められた「基準一次エネルギー消費量」で割ったBEI値という数字が認定基準です。

長期優良住宅との大きな違いは、省エネのみに着目している点と、段階的に評価される点といえます。

また、第三者評価であるBELSによって高い省エネ性能を証明できた建築物は、2024年4月から事業者に表示努力義務が課される「省エネ性能ラベル」にZEH(非住宅の場合はZEB)マークを記載できます。

メリット

長期優良住宅とBELSのメリットを解説します。実際に住宅の価値を左右するポイントですので、ぜひ確認してください。

長期優良住宅のメリット

前述のとおり、長期優良住宅は環境などにも配慮した建物であるため、多くの優遇措置があります。主な優遇措置として挙げられるのは、以下の内容です。

  • 補助金を得られる
  • 地震保険料が割引される
  • 登録免許の税率が下がる
  • 住宅ローンの控除が増える
  • 低金利で住宅ローンが組める
  • 不動産取得税の控除額が増える
  • 固定資産税の減額期間が長くなる
  • 住宅取得等資金贈与の非課税限度額が大きくなる
細かな条件はありますが、長期優良住宅が対象の補助金を設けている事業には「地域型住宅グリーン化事業」や「子育てエコホーム支援事業」などがあります。

地震保険料でも優遇措置があり、長期優良住宅は保険料割引対象となるため、耐震等級2の場合は30%割引、耐震等級3の場合は50%割引を受けられます。

住宅の建築、購入にかかる登録免許税の税率も、一般住宅より低いのがメリットです。所有権保存登記の税率は、一般住宅が0.15%であるのに対して長期優良住宅は0.1%です。所有権移転登記の税率は、一般住宅0.3%に対して長期優良住宅は一戸建てが0.2%、マンションが0.1%となっています。

また、住宅ローンを組むにあたってフラット35を利用する場合、長期優良住宅であればフラット35Sという金利優遇を受けられるのも、メリットのひとつです。

不動産を購入する際の不動産取得税の控除額でも、一般住宅の控除額が1,200万円であるのに対して長期優良住宅は1,300万円と増額されています。

そのほか、新築住宅の固定資産税には本来の税率の1/2に減税される優遇措置がありますが、長期優良住宅はさらに期間が延長されます。一般住宅は一戸建てで3年間、マンションの場合5年間で長期優良住宅は一戸建てが5年間、マンションは7年間が減税期間です。

優れた住環境であるのはもちろんですが、こうした税金面での優遇や補助金の対象となることで、金銭的にメリットが大きいといえます。

BELSのメリット

BELSのメリットは以下のとおりです。

  • ZEH支援事業による補助金給付の前提条件として必要になる
  • 中古物件でも評価できる
  • 信頼性が高い
  • 長期優良住宅認定に比べて安価に取得できる
  • 申請タイミングの自由度が高い
仮に評価の高い住宅であっても、BELS単体では、長期優良住宅のように減税や補助金などの優遇措置がほとんどありません。

しかし前述のZEHを推進するための「ZEH支援事業」に補助金が設けられており、この条件として性能表示が必要であることから、BELS評価書の取得が求められるケースもあります。

さらに、BELS評価は新築のみならず中古物件でも対応可能です。中古物件でBELS評価を取得することによって資産価値を高められるため、売却の際などにも有利に働くでしょう。

BELSは第三者機関による評価であるため、高い信頼性があることもポイントです。このように、BELSは長期優良住宅ほどすぐにメリットの得られる認定ではありませんが、性能の高さを証明するには非常に効果的な指標です。

また、申請費用やサポート費用が比較的安価である点もメリットです。BELSは省エネ性能に特化した評価のため、より多岐にわたる項目の評価が必要である長期優良住宅と違い、構造計算、耐震評価、点検計画などの作成が必要ありません。こうした工程の少なさから、長期優良住宅の認定に比べると低価格で取得できます。

申請は着工前・着工後・竣工後いずれのタイミングでも可能 なため、日程にほぼ影響がないことも強みです。一方、長期優良住宅は評価機関や行政の認定が終わらなければ着工できないため、日程にも影響が出ます。

BELSと似たものに「住宅性能評価書」があります。BELSが非住宅を含むすべての建物に対しての省エネルギー性能評価である一方、住宅性能評価は住宅における包括的な性能を評価します。

まとめ

長期優良住宅とBELSには、住宅の設備や周辺環境への配慮も含む基準を設けているか、また、数値化や段階的に表示するかといった違いがあります。

長期優良住宅は長期で住むための総合的な判断をするのに対して、BELSはエネルギーをどのくらい削減できる設備であるか表すため、大きく目的が異なっています。どちらも魅力的な建物の基準ですが、住宅価値の把握では何を重視すべきかを踏まえて、判断基準とするのがおすすめです。

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