危険物保管庫のコラム
危険物倉庫を設置する際に確認すべき用途地域とは
建設地が未確定の場合、まずは土地の選定から始める必要があります。あらゆる建物は、任意の場所で建設してよいわけではありません。
とくに、危険物の保管施設である危険物倉庫では火災の発生リスクがあるため、危険物倉庫が設置できる用途地域にしか設置できません。引火しやすい物質や爆発するおそれのある物質によって、周囲に火災が広がる危険性を減らすためです。
この記事では、危険物倉庫を設置できる用途地域について紹介しています。倉庫を建てる際に考えなければならない建ぺい率や容積率についても解説しているため、法律を遵守して危険物倉庫を設置したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
用途地域とは
用途地域とは、地域ごとに建築できる建物の種類や利用用途を定めたルールのことです。用途地域は大きく分けて、住居系や商業系、工業系の3つに分けられ、さらに13種類のエリアに分かれます。
住居系地域
住居系地域とは、住居用として利用される地域のことです。以下の8種類があります。
- 第1種低層住居専用地域
- 第2種低層住居専用地域
- 第1種中高層住居専用地域
- 第2種中高層住居専用地域
- 第1種住居地域
- 第2種住居地域
- 準住居地域
- 田園住居地域
第一種中高層住居専用地域と第二種中高層住居専用地域は、中高層住宅のための地域です。病院や大学、事務所、ある程度の規模までの店舗も建設可能です。
第一種住居地域や第二種住居地域は、上記の住居専用地域と比べて高さや面積の制限が緩和されている地域です。こちらも住環境の保護を目的としているため、工場や倉庫などには厳しい規制があるものの、中~大規模な店舗や事務所、ホテルなどが建てられます。
準住居地域は、住居と商業が混在するエリアのことです。幹線道路沿いを指定されることが多く、住居系地域のなかでも規制がゆるやかなのが特徴です。
田園住居地域は、都市部にて住宅と農地が混在した地域で、両者を調和しつつ低層住宅の良好な環境を守るため指定されています。
商業系地域
商業系地域には、近隣商業地域と商業地域があります。近隣商業地域は、周辺の住民が日用品の買いものや用事などをしやすい地域のことです。
商業地域は、映画館や百貨店、飲食店などが集まる商業に特化した地域です。商業系地域では、住宅や規模の小さい工場も建てられますが、一部の工場には規制がかけられています。
工業系地域
工業系地域には、準工業地域と工業地域、工業専用地域があります。準工業地域は、住宅のほかに病院や学校などのサービス施設のほか、危険性があるものや周囲の環境を悪化させるおそれのある工場以外(一定規模以下)が建てられます。
一方、工業地域は、原則どのような工場でも建てられます。住宅や店舗も建てられますが、病院や学校などは建築できません。
工業専用地域は、工場専用に設けられた地域です。どのような工場でも建てられますが、反対に住宅や店舗を建てる際は規制がかかります。
危険物保管庫を設置できる用途地域
危険物保管庫を設置する際、どのような用途地域であれば建てられるか確認しましょう。また、基本的に危険物倉庫を建てられない地域であっても、危険物の種類や数量によっては可能となる場合があります。
用途地域で制限がかかる危険物とは、消防法で指定されているガソリンや灯油などの危険物のほかに、建築基準法で指定される火薬類やガスなども含まれます。以下で、危険物保管庫を設置できる・できない用途地域についてくわしく紹介します。
設置できる用途地域
危険物保管庫を設置できるのは工業系地域です。工場系地域は、工業の利便性を向上させるために設定する地域のため、工場の建設や製造が円滑にできるように設けられています。
工業系地域のなかでも、準工業地域は環境への負荷が少ない工業の進出を促進するために設定される地域であり、危険性や環境悪化が著しいとされる場合は建てられない地域のため、危険物保管庫を建てられるのは扱う危険物の分量が少ない場合に限定されます。
また、住居系地域の第2種住居地域や準住居地域、商業地域の近隣商業地域や商業地域も、危険物が少量の場合でなおかつ規模が制限されるものの、倉庫を建てられる場合があります。これらの地域は、建物の規制が比較的ゆるやかなためです。
ちなみに危険物の数量で1番制限がかかるのが、住居系地域です。つぎに商業系地域、工業系の準工業地域の順になります。詳しくは、市区町村の担当課に問い合わせを行いましょう。
設置できない用途地域
危険物保管庫が設置できない用途地域は、住居系地域の第1種低層住居専用、第2種低層住居専用、第1種中高層住居専用、田園住居の4つです。
住居系の地域は、住民の生活環境を守り、地域全体が安全に発展するために用途地域として指定されています。住民の安全性確保のために、これらの地域では危険物保管庫が建てられません。
建築面積の制限にも注意が必要
用途地域で危険物倉庫を建てられる地域として指定されていても、倉庫が建てられない場合があります。倉庫に限らず建物を建てる際は、建ぺい率や容積率が定められており、地域ごとに建てられる面積が制限されるからです。
倉庫を設置する際は、地域で定められた建ぺい率や容積率以内で建築しなければなりません。建ぺい率や容積率は、都市計画法や建築基準法、行政の規制により定められています。以下で、建ぺい率や容積率についてくわしく紹介します。
建ぺい率とは
建ぺい率とは、建物の床面積が敷地全体の面積に対してどれだけの割合を占めるかを示すものです。割合が高いほど、敷地面積を多く利用して建てられ、逆に低い場合は建物に利用できる敷地面積は少なくなります。
たとえば50㎡の土地で建ぺい率が50%の場合は、1階部分が50×50%=25㎡の建物面積を使用できます。
容積率とは
容積率とは、建物の総床面積(延べ床面積)が、その土地面積に対してどれだけの割合を占めるかを示すものです。各階の面積を合計したものが延べ床面積です。
たとえば50㎡の土地で容積率が150%の場合は、50㎡×150%=75㎡の延べ床面積の建物が建てられます。1、2階それぞれ37.5㎡の面積を使用できます。
また、危険物保管庫は、消防法により床面積1,000㎡ 以内・高さ6m未満と定められており、平屋である必要があります。ただし、第2類・第4類の危険物のみの保管庫かつ総務省令で定めるものであれば、高さ20m未満でも構いません。
危険物保管庫は、特定危険物保管庫・危険物保管庫・少量危険物保管庫の3種類に分けられており、用途に応じて適切なものを選定する必要があります。こちらの記事では、各危険物保管庫の特徴を解説します。
まとめ
危険物倉庫を設置できる用途地域は、主に工業系地域です。危険物の分量が少ない場合のみ、準工業地域や第2種住居地域、準住居地域、隣商業地域や商業地域でも建てられる可能性があります。
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