地盤調査コラム

地盤改良とは?工法の種類や工事が必要なケースを紹介

地盤改良とは?工法の種類や工事が必要なケースを紹介

地盤改良工事とは、敷地内の地盤の弱さが問題視される場合に行われる工事のことです。住宅の予定地の地盤が軟弱な場合、建物の荷重に耐えられずに建物が傾く危険があるほか、頭痛や不眠などの健康被害につながることもあります。

この記事では、地盤改良工事の種類と改良が必要となる事例を紹介しています。安全性を確保するために、地盤改良の知識を身に付け、必要な対策を講じましょう。

地盤改良とは

地盤改良は、土地全体の強度を均一化する工事のことを指します。元来、土地の強度は場所によって異なり、均一ではありません。たとえば、やわらかい地盤の下に強固な地盤がある、強固な土地の隣にやわらかい土地が存在するなどがあります。

土地の強度が軟弱な部分に建物を建てると、建物が傾く、揺れるなどが起こりやすくなります。最悪の場合は倒壊するリスクもあるため、土地の強度を向上させる必要があります。

そこで、基礎の下にある地盤を工事により均一化し、地震や台風などの災害が発生したとしても耐えられるようにするのが地盤改良工事です。地盤改良は、地盤調査により工事が必要と判断された場合に行います。

地盤改良が必要なケース

地盤改良が必要な土地と判断されても、専門性が高い内容となるため、よく理解できない方も多いでしょう。どのような場合に地盤改良が必要なのか、具体的な事例を紹介します。

地盤が軟弱と判断された場合

地盤調査により、建物を支える力が20〜30KN/㎡以下 と判断された場合は、建物を支えきれない軟弱地盤であるといえます。KN/㎡(キロニュートン)とは、1㎡にどのくらいの力が加わっているかをはかる単位のことです。

基礎が強固に造られていても、地盤が軟弱であれば、地震や台風などの災害が発生した際の衝撃を受け流せません。建物の重みで土地が沈んでしまい、建物が傾く、倒壊するなどの問題が生じる可能性があります。

地盤が盛土や埋立地の場合

日本は古くから山を切り開き、海や川を埋め立ててひとの住める土地にしてきました。そのため、盛土や切土、盛土と切土の混合である切盛土、埋立地などが存在します。

盛土とは、本来の地盤のうえに土砂をのせて固めたものです。盛土を適切に固めていないと土が沈み込むことがあり、建物の傾斜または倒壊につながります。

切土はもともとある地山を切り崩したもののため、固い地盤であることが多いです。しかし切盛土の場合、自然災害の影響などで盛土部分が地滑りする危険性もあるため、注意しなくてはなりません。

また、埋立地は土が自然に堆積した土地ではなく、人工的に造成されたものです。自然に造られた土地に比べると、地盤の強度が弱くなる傾向があります。

過去に陥没したことがある場合

過去に陥没したことのある土地の場合、原因を取り除かないと再度陥没してしまうリスクがあります。陥没の原因は、地中にゴミがあり周囲が空洞になっている、近隣に大きな工事がありその影響によるものなどがあり、原因別に対処が必要です。

不同沈下や液状化のリスクがある場合

不同沈下や液状化のリスクがある地盤は、地盤改良工事が必要となります。不同沈下とは、建物の重さに地盤が耐えきれなくなり、不均等に傾いてしまうことです。

具体的にはドアが閉まらなくなる、扉が自然に開いてしまうなどの不具合が出ます。修復するのに時間がかかり、傾きの度合いが大きくなるほど、頭痛が発生する、夜眠れなくなるなどの健康被害が確認されています。

一方、液状化とは、地震が発生した際に地盤が液体のようにやわらかくなる現象です。砂地盤で地表から浅い敷地に起こりやすいのが特徴です。振動により土壌の隙間が水分で満たされることで液状化し、建物を支えきれず、沈没や崩壊のリスクが高まります。

地盤改良の種類

地盤改良はさまざまな種類があり、それぞれ得意とする地盤の状態が異なります。以下で、代表的な地盤改良工事を3つ紹介します。

表層改良工法

表層改良工法は、セメント系固化剤を使用し、軟弱地盤全体を固める工法のことです。土地の表層を2 mほど掘り下げ、セメント系固化剤を混ぜて土を固めることで、地盤の強度を向上させます。

この工法の利点として、土地の表層を固めるだけであるため、工期が比較的短く、施工費用が抑えられることです。砂質土や粘性土の地盤に適しています。小さな重機でも施工可能なため、大型の重機が通れない場所でも、工事が可能です。

柱状改良工法

柱状改良工法は、地下2〜8 mほどの深さまでの軟弱地盤を対象とする工法です。現地の土とセメント系固化材を組み合わせて、地盤内に円柱状の補強体を何本か造ることで建物を支えます。

地震の際には柱が周囲の土と連動し、柱と地盤が一体となることで揺れを抑える仕組みです。補強体は、地盤の強度や建物の重さに応じて、必要な本数が変化します。

手順としては、円柱状の穴を掘り、セメント系固化剤をかき混ぜながら穴のなかに注入して補強体を造ります。表層改良工法よりも費用はかかりますが、 地盤改良のなかでは一般的な工法です。表層改良工法を採用できない場合に利用されます。

鋼管杭工法

鋼管杭工法とは、鋼製の杭を地盤内に打ち込み、地中から建物を支える工法のことです。鋼管杭工法には、小口径鋼管杭工法、木杭工法、既製コンクリート杭工法の3種類がありますが、戸建て住宅で一般的なのが小口径鋼管杭工法です。

小口径鋼管杭工法は、短期間で工事が終わり、大きな重機を使わないため、狭小地でも利用できます。鋼製の杭を打ち込む工事(深度8 m以上可能)のため、軟弱地盤が地中深く続いている場合でも使用できます。

セメント系固化剤を使わないことから、セメントが固まらないことで地盤沈下の原因となってしまう可能性はありません。表層改良工法や柱状改良工法よりも、費用がかかるのがネックといえます。 こちらの記事では、不同沈下など地盤によるトラブルで住宅に損害が発生したときの備えとして役立つ、地盤保証制度について解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

まとめ

表層改良工法は、表層の軟弱地盤に対応でき、コストがあまりかからない工事です。柱状改良工法は、表層改良工法が適用できない工事に利用されています。 鋼管杭工法は、地中深くの地盤まで対応でき、業者の力量に関わらず使用できます。

ワールドシェアセリングでは、地盤調査から解析、改良工事の必要性の判断、適切な工法の紹介などを行っています。第三者の目で厳しく施工内容をチェックすることで、工事後のトラブルをなくせます。ご検討中の方は、当社ホームページのお問い合わせホームからご相談ください。
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