地盤調査のコラム
液状化現象とは?なぜ起こる?仕組みや対策方法をわかりやすく解説
土地やマイホームの購入を検討している場合、液状化現象のリスクについて事前に調査を行い、把握しておくことが大切です。大きな地震が発生し液状化が生じた際、その地盤上に建物がある場合は建物の沈下や倒壊のリスクが高まるためです。
普段はアスファルトに覆われており問題なく通行できる場所でも、液状化しやすい地盤である可能性も否めません。そこで、今回は、液状化現象について仕組みや対策を解説します。安全な土地にマイホームを建てたい方や、今からでも液状化対策をしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
液状化現象とは
液状化現象は、震度5以上などの大きな地震の揺れにより、地中の地盤が液化することです。地上にあふれ出てくることもあり、大量にあふれた場合は、まるで海水を多く含んだ砂浜が広がるように見えるケースもあります。
また、地中に埋設されている住宅基礎など重いものは沈下し、水道管など軽いものは地上に押し上げられることもあるため、地震による二次被害を引き起こす可能性もあります。はじめに、液状化現象の仕組みと起こりやすい場所について、それぞれ解説します。
仕組み
通常の地盤は、ある程度の水分を保有しながら、砂同士が結びついて強度を保っています。しかし、地震の揺れにより地中の間隙水圧 が高くなると、砂同士がバラバラになり、地下水の中を漂うようになります。この状態が液状化現象です。
また、次の3つの条件が揃うことで発生しやすくなります。
- 砂地盤(地下 2~3mの浅い位置に砂層がある)
- 砂層の強度が低く砂がふんわりたまっている(N値が低い)
- 緩い砂層が地下水に満たされている
なお、一度液状化した地盤は、再び地震が発生した際に再液状化しやすいため、過去に液状化した経緯があるか事前に調べておくことをおすすめします。
起こりやすい場所
主に液状化現象が起こりやすい場所は、砂地盤であることが挙げられます。そのほか、次のような場所も注意が必要です。
- 旧河川
- 旧池地
- 海岸などの埋立地
- 地下水が地表に近い場所
- 干拓地
- 砂丘や砂州の間の低地
- 過去に液状化した場所
次は、液状化現象への対策方法を見ていきましょう。
液状化現象の対策方法
購入を検討する土地が見つかった場合、安心できる生活を確保するためにも、液状化現象への対策も考えたいところです。しかし、具体的になにをすればいいかわからない方もいるのではないでしょうか。
そこで、ここでは液状化現象への対策方法4つを紹介します。さまざまなケースに対応しているため、ぜひ目を通してください。
土地を事前調査する
まずは土地に対し、事前に調査することが挙げられます。地盤調査は、建築基準法によって建築前に実施することが実質的に義務付けられているため、これは必ず行うステップでもあります。ただし、その土地が売りに出されている場合は、売主の許可を得る必要があるため注意が必要です。
一般的な木造住宅建築を予定している場合は、狭い土地にも適しているスクリューウエイト貫入試験(SWS試験)を実施するケースが多いでしょう。鉄筋コンクリート造や鉄骨造の住宅建築の場合は、より大型の機材を用いて地盤を確認するボーリング試験を行います。
どちらの試験を実施するかは、建築する住宅の種類や規模により異なりますが、これらの調査をすることで建築に適した土地かを判断できます。また、万が一液状化しやすいリスクがあると判明した場合は、当該の土地の地盤改良が必要です。
地盤調査を依頼する際は、正確なデータと適切な提案を実施する調査会社選びが重要です。こちらの記事では、過去国内で起きた地盤調査の不正事件を取り上げるとともに、不正に遭わないための方法をお伝えしています。
地盤を改良する
地盤改良には、いくつか種類があります。一般的な工法として、次の4つが挙げられます。
工法名 | 主な特徴 |
---|---|
柱状改良工法 | ● 7m~8m程度の改良なら低コスト ● 工期が短い(1日~3日) |
砕石杭(パイル)工法 | ● 土壌や環境への影響が少ない ● 長期的に地盤の強度を保てる |
PP(ピュアパイル)工法 | ● 高強度・高品質を実現 ● 低コスト ● 腐葉土地盤にも対応可能 ● 残土なし |
鋼管杭工法 | ● 非セメント工法で環境に優しい ● 溶接して杭長を伸ばすことで、20m程まで伸ばせる ● 排土・残土がほぼない ● 地下水の影響を受けない ● 支持地盤が傾斜していても対応可能 ● 施工中の騒音が少ない |
砕石杭工法は、砕いた天然石を地面の穴に入れ、圧力をかけて埋め込むことでつくられる石柱状の杭によって、地盤を支える工法です。
PP(ピュアパイル)工法は、セメントミルクを地中の穴に流し込み固める、杭状地盤補強工法として採用されています。シンプルですが高強度であり、地盤を選ばないことが強みです。
鋼管杭工法は柔らかい地層が厚い場合に用いられ、小口径鋼管を支持層まで打設して強度を高める工法です。 液状化対策を目的とした工事であれば砕石杭工法と鋼管杭工法が挙げられますが、なかでも、地震など水平にかかる力に対してもより優れた地耐力を発揮できる鋼管杭工法が最も適しています。
このように、どの地盤改良が適しているかは、地盤調査による結果や、周辺を含めた環境によって選定されます。ワールドシェアセリングでは正確かつ確かな技術と経験により、地盤に最適な工法をご提案します。
地震保険に加入する
地震保険への加入も液状化対策といえます。地震による液状化現象の発生で、建物に損害が出た場合に活用できます。ただし、補償内容や支払金額などは保険会社で異なるため、内容を十分に確認してから加入しましょう。
まとめ
地盤の液状化現象は主に砂層で起こりやすく、一定の条件が揃うと生じやすいため、土地やマイホームの購入を検討している方は、事前に地盤調査を実施しましょう。
調査の結果により液状化のリスクが低かったとしても、万が一に備えて対策を取っておくことで、より安心・安全な生活を確保できます。
ワールドシェアセリングは、地盤調査や地盤改良をはじめ、住宅の省エネ計算などを手掛けています。事前調査から地盤調査の実施、第三者によるデータ解析と20年の地盤保証を提供しています。
地盤改良では、その土地の環境や施工性、コストも考慮した改良工事を提案します。地盤の液状化現象にご不安があれば、ぜひワールドシェアセリングにご相談ください。