対談特集

危険物保管庫とリスク管理 特別対談
ビッグサイトにて2024年10月9日~11日に開催

ビッグサイトにて2024年10月9日~11日に開催

2024年10月10日に「危機管理産業展2024」にて行われた、対談の様子です。

「ユニットハウス式危険物保管庫における安全性向上」をテーマに、危険物の保管や運用における安全対策について、元消防士の方々にお話しを伺いました。
現在、危険物保管庫をご利用中の方も、今後導入を予定している企業様もぜひ、ご一読ください。

リスク管理と設置指摘時の対処方法 特別対談

【飯塚様】リスク管理と設置指摘時の対処方法

弊社:

飯塚様、本日はよろしくお願いいたします。

飯塚様:

はじめまして。飯塚と申します。私はこれまで、東京消防庁の危険物課ならびに、消防署で主に危険物の保管やその運用に関する指導を行ってまいりました。現在は退職後も、危険物に関するアドバイザーとして指導や助言を行っております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

弊社:

本日は飯塚様とともに危険物の保管に関する安全基準やリスク管理についてお話できることを大変楽しみにしていました。
それでは、早速本日のテーマに入りたいと思います。まず最初に、危険物保管における最新の基準や法規制についてお話をお伺いしたいと思います。

元東京消防庁 飯塚様

元東京消防庁 飯塚様

■危険物保管の基準

弊社:

危険物の保管に関する消防法規制や基準について、昔から現在までの進展や変化について教えていただけますか?

飯塚様:

近年、各種災害をふまえまして消防法、特に危険物法令の改正がなされ、危険物保管に対する規制がさらに厳格化しています。特に震災・水害対策に関する基準が強化され、運用面では、保管する危険物の定期的な点検や状態の確認が最重要視されるようになりました。これにより、企業のリスク管理の精度が求められています。

弊社:

危険物の運用や管理において、火災を未然に防ぐことが何よりも大事だと思いますが、危険物を扱う企業が日々の運用で特に注意すべき点は何でしょうか?

飯塚様:

まず、保管量に応じた規制があるということが最も重要な事です。1つ目は、指定数量の5分の1以下。これは俗に微量危険物と言われております。次に、指定数量5分の1以上指定数量未満の物につきましては、少量現物貯蔵取扱所という区分になり、条例の規制がかかります。
また、指定数量を超えた場合には、消防法に基づく許可が必要となる施設の設置が必要となります。

弊社:

ありがとうございます。非常に興味深いですね。それぞれの規定に応じた対策が必要なんですね。

■現場での事例

弊社:

これまでのご経験の中で、適切に危険物が保管されて火災リスクを回避できた事例、または違反が発生して問題となった事例がありましたら、教えていただけますか?

飯塚様:

回避の事例では、法令基準を適切に遵守し、取扱いまたは貯蔵されており、災害の発生リスクが非常に少ないという事実があります。また、違反が発生しているようなケースにおいては安全基準が満たされていないことで、大きな事故に発展する場合があります。

弊社:

最近、消防署から指摘されて弊社へとご相談をいただくケースが増えており、リスク管理の重要性を再認識しています。

■災害時におけるリスク管理と設置指摘時の対処方法

弊社:

消防署から危険物保管庫の設置に対して指摘を受けた場合、企業側はどのように対処するのが良いのでしょうか?

飯塚様:

消防機関から指摘を受けたということは、消防法令に違反をしていると事実に基づいて行われています。まず、その内容について適切に把握し、迅速な対応が求められます。指摘事項につきましては、保管方法や設備の必要な場合は速やかに対応し、法令を遵守した安全基準を担保した上での貯蔵等が必要となります。

弊社:

危険物保管庫を建てる方法として、主に建築工法か、弊社が取り扱っているような、出来合いのユニット式の危険物保管庫を設置するという方法になると思いますが、飯塚さんは、それぞれの工法について、どのようなイメージをお持ちですか?

飯塚様:

建築工法は企業の要望に合わせて自由に設計できるというメリットがありますが、工期が長く費用が多くかかるというデメリットもあります。一方ユニット式の保管庫は短期間で設置可能で、規模が大きくなるほどそのメリットが出てまいります。ここに移設等が必要な場合にはすぐに行えるとは大きな強みになるかなと思っております。

弊社:

ありがとうございます。あちらに弊社の少量危険物保管庫が展示されていて、先程実際にご覧いただきましたが、感想や印象をお伺いしてもよろしいでしょうか?

飯塚様:

実際に拝見いたしましたが、非常に堅牢で設置も簡単に行える印象を受けました。この規模であれば、車両に積載し、現地に持っていってすぐに設置ができるかなということが一番のメリットかなと思います。また、設備につきまして非常に安全基準を満足しているような状況があります。非常に安全につきましては、基準よりも厳しい内容で設置をされているということがありますので、非常に高い評価をすることができます。

■許可申請や届出のプロセス

弊社:

危険物保管庫を設置する際に必要となる許可申請や届出のプロセスについて、注意すべき点やアドバイスがあれば教えていただけますか?

飯塚様:

危険物の種類は多岐に渡り書式がありまして、図面等を含めまして要求されるものが非常に多くなります。事前に書類を全て準備をし、事前相談を行って、申請や届出が速やかに行えるような準備が必要かと思います。また、火災予防条例等につきましては、地方の気候風土に合わせて若干自治体ごとに申請基準が異なることがありますので、事前に十分に内容等を把握して対応することが肝要かと思われます。

弊社:

本日の対談を通じて、改めて危険物の保管の重要性を再認識いたしました。今後、業界全体に期待されることについてお考えがあれば、お聞かせいただけますか?

飯塚様:

危険物法令は、大きな災害があるたびに改正をされていくということがあります。企業におかれましては、最新の法令基準等を把握した上で、適切に改修等を行って現行法令に適合させるということが大事でありますので、今後とも、よろしくお願いいたします。

弊社:

本日は貴重なお話をありがとうございました。今回の対談を通じて得た知見を活かし、今後もお客様に安全で高品質な危険物保管庫を提供してまいります。

法令遵守の重要性と安全性向上のための取り組み 特別対談

【田中様】法令遵守の重要性と安全性向上のための取り組み

弊社:

田中様、本日はよろしくお願いいたします。
企業が法令を遵守するだけではなく、さらに安全性を向上させるためには何が必要か、専門的な観点からご意見をご意見をお聞かせいただきたいと思いますので、田中様どうぞよろしくお願いいたします。

田中様:

よろしくお願いいたします。私は長年、消防署で危険物管理や保管の規制に関する業務に携わっておりました。今日は皆様のお役に立つ情報をお伝えできればと思います。

弊社:

本日は、危険物保管に関する重要なポイントを学び、今後の事業活動に役立てていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

元東京消防庁 田中様

元東京消防庁 田中様(右)

■法令遵守の重要性と安全性向上のための取り組み

弊社:

まず、危険物の保管において、法令を遵守することがなぜ重要であり、それを怠ることがもたらすリスクについて、お伺いしてもよろしいでしょうか。

田中様:

まず、危険物の規制に関する様々な法令というのは最低限のルールなんですね。生活していく上で危険物というのは無くてはならないものですが、保管していざ何かあった場合に、例えば漏えいをした、漏えいが広がって会社に非常に大きなダメージが起きた、あるいは自然界においてダメージがある、あるいは住民に対してダメージがある。これは重大な被害や危険をもたらすことがありますので、最低限の危険物のルールというのは守っていただいて、適正な危険物の取り扱いに携わっていただければと思います。

弊社:

そうですね。実際、私もこの仕事をする前は気付きませんでしたが、危険物って意外と身近に結構たくさんあるんですよね。それは私もこの仕事を始めてすごく印象的だったのを覚えています。
では次に、法令を遵守するだけではなく、さらに安全性を向上させるために企業はどのような取り組みが必要だとお考えでしょうか。

田中様:

そうですね。今、BCPと言われる事業継続計画(Business Continuity Plan)というものが定められております。これは民間企業でも。これからはどんどん作成していかなくてはいけないと思います。
これは企業に何かあった時に、事業を存続するための計画となります。特に危険物を取り扱っている業者などは、非常にリスクが高いと思います。何かひとたび漏洩が起きると、かなり社会的影響も大きいということが考えられます。ですから、そういった観点からも、法令とBCPという最低限のルールを守っていただいて、保管・管理、取扱いをしていただければと思います。

■指定数量管理アプリ

弊社:

確かにそうですね。
次に、指定数量の管理は、重要な項目の1つだと弊社では認識しています。ただ、危険物を運用される企業様の現場では、「指定数量を管理する事が、厳格に出来ていない」「管理がずさんになっている」というお声を頂く事も多いです。弊社では、その指定数量の管理を安全・簡単にする為、危険物の指定数量管理システムを、自社開発してます。事前に田中さんに、このシムテムアプリも実際に見て触っていただいて、どういう感想でしょうか?

田中様:

そうですね、非常にいいと思います。
どうしても事故というのはヒューマンエラーなんです。指定数量だと言われても、じゃあガソリンが何リットルが指定数量未満なのか、あるいは軽油が何リットル未満なのかというのを一覧で表示してあっても、必ずミスというのは起きるんです。そういったミスを補うためのアプリだと思っていただければありがたいと思います。
また、アプリだけに責任を負わせて、人間の管理が疎かになってくると、また手落ちが出てくるので、ヒューマンエラーを補完するものだということで考えると、私も初めて見ましたけど、非常にいいものだと思います。

弊社:

やはり、現場の安全管理には、日常的な危険物の適正な管理と従業員様の意識向上が重要だと感じました。

■事故が発生した場合のリスク管理

弊社:

万が一事故が発生した場合、企業はどのようなリスク管理を行うべきでしょうか?

田中様:

まず、取り扱っている方のみが指定数量あるいはその取り扱いを分かっているだけだと、いざ事故が発生した時に初動体制が遅れる可能性があると思います。情報を共有しておいて、あらかじめ事故が発生したならば、誰がどのように、誰に連絡・相談をして、どういう対応を取るかというのを、計画(BCP)として作っておきまして、それを何回か訓練の中に取り入れて、日常的に業務の中に計画が反映できるようにされた方がいいと思います。事故が発生したとき、やはり速やかな通報と初動対応だと思います。大きく広げないためにはどうしたらいいか、これをまず考えていただき、計画の中に盛り込んでいただければありがたいかなと思います。

弊社:

はい、ありがとうございます。

■ユニット式危険物保管庫

弊社:

危険物保管庫を建てる方法として、主に建築工法か、弊社が取り扱っているような、ユニット式の危険物保管庫を設置するという方法になると思いますが、田中さんは、それぞれの工法について、どのようなイメージをお持ちですか?

田中様:

そうですね。従来ですと、下を寸法測って、平らにしてブロックを積み上げてと、工法的にもかなり時間とコストがかかっていたと思います。特に今、工事の工期というのがどんどん短くなっているんです。その中で工事を始める前に、こういった危険物の倉庫って最初に設置しなければいけないものだと思いますので、こういった出来合いのものがぽんっと設置できて、これを申請すればOKが出るというようなものは、いろいろな建築業界さんを含めた工事関係の皆様、企業の皆様には大変なメリットになると思います。

弊社:

本日の対談を通じて、今回の対談を通じて、法令遵守だけではなく、さらに安全性を高めるための取り組みを続けていくことの重要性を再確認いたしました。本日はどうもありがとうございました。

ビッグサイトでの展示の様子

ビッグサイトでの展示の様子

ビッグサイトでの展示の様子

展示はおかげさまで大盛況でした

展示会場の様子

展示会場の様子