少量危険物保管庫の設置・運用基準とは?関連法や遵守ポイントも解説

少量危険物保管庫の設置・運用基準とは?関連法や遵守ポイントも解説

少量危険物の保管には、消防法をはじめとする法律で定められた厳格な基準があります。
基準を満たしていないと、法令違反や火災などの重大な事故を招きかねません。

本記事では、少量危険物保管庫を取り扱うワールドシェアセリングが、設置・運用に関する基準を解説します。
また、関連法やチェックリスト、確実に守るためのポイントも紹介します。

少量危険物保管庫の基準を遵守する重要性

まずは、少量危険物保管庫の基準を遵守する重要性について解説します。

火災や爆発リスクを抑える

少量危険物には、ガソリンやアルコール類など、引火性が高く、一度着火すると急激に燃え広がる性質を持つ物質が含まれます。
静電気の発生や容器への衝撃など、些細なきっかけにより火災や爆発事故を引き起こす物質も少なくありません。

少量危険物保管庫に定められた基準は、こうしたリスクを回避するために、火源との距離や換気、構造強度を考慮して設けられています。
そのため、基準の遵守は、従業員や周辺住民の生命を守るだけでなく、設備や製品など企業の資産を守るうえでも不可欠です。

法令違反のリスクを避ける

少量危険物は、消防法や各自治体の火災予防条例により、保管方法や設備に明確な基準が定められています。
そのため、基準を守らずに保管していると、法令違反として是正命令や指摘を受ける可能性があります。

是正命令が出た場合、短期間での改善対応や設備の入れ替えが求められ、業務停止につながりかねません
業務停止を回避するためにも、法令が定める基準を正しく理解し、確実に遵守することが重要です。

労働者の安全を確保する

企業には、安全配慮義務が課されており、従業員が安全に働ける環境を整える必要があります。
少量危険物を不適切に保管していると、有害な蒸気の吸引による体調不良をはじめ、さまざまな健康被害を招きます

そのため、法令で定められた基準に基づき、安全性の高い保管庫の設置が不可欠です。

設置基準の遵守は、従業員の生命と健康を守るだけでなく、安心して働ける職場環境を構築するために重要な取り組みです。

少量危険物保管庫に求められる設置・運用基準

少量危険物保管庫には、事故を未然に防ぐために、いくつか設置や運用に関する基準が定められています。
以下では、8つの基準を解説します。

保管量の基準

少量危険物とは、消防法で定められた指定数量の5分の1以上、指定数量未満の危険物を指します。
指定された範囲の危険物を保管する場合、消防法や火災予防条例に基づいた設置・運用基準が適用されます。

ただし、少量であれば自由に保管できるわけではありません。
例えば、指定数量の半分以下を超える量になると、構造や設備面でより厳しい基準を満たした保管庫の設置が求められます。

また、同一の保管庫内に複数種類の危険物を保管する場合には注意が必要です。
危険物の種類のなかには、混載が禁止・制限されている組み合わせもあり、個別の数量は基準内でも合算次第では違反となるケースもあります。

このように、保管量の基準は単純な総量だけで判断できないため、危険物の種類ごとの数量や混載条件を正しく把握することが重要です。

構造の基準

少量危険物保管庫には、火災発生時の延焼防止や被害の最小化を目的として、以下のような構造要件が定められています。

構造部分基準
壁・柱・床・天井不燃材料で造る、もしくは不燃材料で覆う
窓・出入口防火戸を設置
床(液状危険物)危険物が浸透しない構造を採用
高さ【不燃材料で造った荷台による貯蔵】6m
【第4類の第3・4石油類のみ(屋内外の貯蔵)】4m
【その他(屋内外の貯蔵)】3m

参照:少量危険物貯蔵取扱い運用基準|士別地方消防事務組合消防部

構造基準に基づき保管庫自体の耐火性や安全性を確保すると、事故発生時の影響を庫内にとどめられます。

設備の基準

少量危険物保管庫には、安全性を確保するために、さまざまな付帯設備の設置が必要です。
具体的には、危険物の性質や量に応じて、以下のような設備の設置が義務付けられています。

設備名基準
ためます(貯油槽)漏えいした液体を貯留できるよう、床に適切な傾斜を設け、ためますを設置
排出設備設ける※引火点が40℃未満の危険物など
消火器・屋内:1本以上設置義務
・屋外:指導設置(義務なし)・移動タンク:自動車用を1本設置
換気設備・引火点が70℃未満:電気換気扇や強制換気システムなどによりダクトフードを用いて排気
・引火点が70℃以上:自然換気でも可
・可燃性蒸気が滞留するケース:蒸気を屋外の高所に排出する設備を設置
静電気を除去する装置危険物を取り扱う設備をアース
流出防止装置高さ200mm以上の鋼板などの不燃材料で造られた防油堤を設置
電気設備引火点が40℃以下の危険物など防爆構造を備えたもの

参照:少量危険物貯蔵取扱い運用基準|士別地方消防事務組合消防部

設置後に設備不足が判明すると追加工事が必要になるケースもあるため、設計・導入段階から基準を十分に確認しておくことが重要です。

設置場所の基準

少量危険物保管庫は、作業者や周辺への影響を考慮し、安全性を確保できる場所へ設置しなければなりません。

具体的には、以下のような設置場所に関する基準が設けられています。

項目基準
保有空地【金属製容器】指定数量の1/2以上、指定数量未満:1m以上
【その他の容器】
・指定数量の1/5以上、1/2未満:1m以上
・指定数量の1/2以上、指定数量未満:2m以上
地盤平坦かつ軟弱でない

参照:少量危険物貯蔵取扱い運用基準|士別地方消防事務組合消防部

設置場所の基準を満たしていない場合、立入検査時に是正指導を受ける可能性があります。
設置後に移設や改修が必要になる事態を避けるためにも、設置前に基準を確認しておきましょう。

転倒・落下防止対策の基準

地震や作業中の不意な衝撃により、保管容器が転倒・落下すると、危険物の流出や火災につながります。
そのため、少量危険物保管庫では、以下のような容器の安定性を確保するための転倒・落下防止対策が求められます。

  • 容器の転倒・転落を防止する有効な柵や滑り止めを設置
  • 柵には、ビニルコードなどたるみが生じる材料を避け、金属や木製の板・棒状の部材を使用
  • 柵などの高さは、容器の大きさや滑動を考慮して適切に設定
  • 容器は砂箱内への収納や柵に固定するなどで、滑り止め対策

参照:少量危険物の運用基準|川越地区消防組合

転倒防止を講じることで、地震時や日常作業中の事故リスクを低減し、安全な保管環境の維持が可能です。

換気・排気に関する基準

引火性液体から発生する可燃性蒸気が保管庫内に滞留すると、静電気などのわずかな火花でも爆発する危険性があります。
そのため、以下のように、可燃性蒸気の滞留や温度上昇を防ぐための換気と、蒸気を確実に外部へ排出するための排気に関する基準が設けられています。

項目基準内容
換気・自然換気または有効な換気設備による可燃性蒸気の滞留防止
・危険場所における防爆構造換気設備の設置
・延焼のおそれのある部分への防火ダンパーの設置
排気・可燃性蒸気の強制排出設備の設置
・屋外高所への安全な排出
・給気口と排気口への引火防止網の設置

参照:少量危険物等の貯蔵・取扱いの技術上の基準等|大東四條畷消防組合

換気・排気設備の不備は指導や是正の対象に含まれるため、定期的な点検を心掛けましょう。

表示・ラベルの基準

少量危険物保管庫には、危険物の保管を第三者に伝えるために、所定の標識や掲示板の設置が義務付けられています。

主な表示に関する基準は、以下のとおりです。

表示の種類記載内容設置場所サイズ
標識少量危険物貯蔵取扱所【移動タンク以外】出入口付近などの外部から見やすい位置
【移動タンク】車両の前後から確認できる見やすい位置
幅0.3m以上、長さ0.6m以上
掲示板火気厳禁や禁水など、貯蔵する危険物に応じた注意事項標識と同様標識と同様

参照:少量危険物貯蔵取扱所の位置、構造及び設備の基準|東京消防庁

それぞれを正しく設置することで、危険物の存在を明確に示し、事故の未然防止と緊急時対応の迅速化につながります。

届出の基準

少量危険物の貯蔵や取り扱いを開始する前は、管轄の消防署長への届出が必要です。

手続きの際は、以下の提出期日や提出方法の基準を守る必要があります。

提出期日貯蔵・取扱の開始(変更)日の10日前までに
※消防署によっては3日や7日の場合もある
提出方法届出書を2部(正本・副本)

届出は、消防署が地域の危険物の存在を正確に把握し、火災予防や災害時の対応に役立てるための重要な手続きです。
無許可で貯蔵を開始すると法令違反となるため、専門家のサポートを受けながら手続きを確実に実施しましょう。

少量危険物保管庫の基準を定める法令

少量危険物保管庫の基準は、消防法を中心に、政令・省令、各自治体が定める火災予防条例により構成されています。

以下では、それぞれの内容を紹介します。

消防法

消防法は、少量危険物保管庫の基準を定めるうえでもっとも基本となる法律です。
火災や爆発事故を防止するため、危険物の定義や指定数量の考え方、保管に関する基本的な内容を定めています。

少量危険物保管庫の設置や運用を行う際は、消防法をまず確認し、政令・省令・条例を読み解いていくとスムーズに理解できます。

危険物の規制に関する政令

危険物の規制に関する政令は、危険物の分類や指定数量を具体的に定めた政令です。
危険物ごとの品名や危険等級、指定数量が規定されており、どの程度の量から規制対象となるかを判断する基準として役立ちます。

政令を確認せずに自己判断で管理を行うと、規制対象となり、設置基準の見直しや申請書類の再提出が必要になる可能性があります。

危険物の規制に関する技術上の基準を定める省令

危険物の規制に関する技術上の基準を定める省令は、少量危険物保管庫に関わる構造・設備・保管方法に関する技術的な基準を定めた省令です。
保管設備の構造基準や換気設備の要求事項、表示義務などを規定し、政令で定められた内容を技術面から補足しています。

また、各自治体の火災予防条例で定められる少量危険物保管庫の基準の多くは、準用して作成されています。

火災予防条例(市町村条例)

多くの自治体では、火災予防条例を制定しています。
火災予防条例では、届出の要否や離隔距離、点検・管理ルールなど、国の法令に加えた独自の基準が定められています。

そのため、少量危険物保管庫の設置する際は、国の法令だけでなく、設置場所を管轄する自治体の火災予防条例を確認することが重要です。

【チェックリスト】自社の危険物保管庫が基準を満たしているか確認

少量危険物保管庫は運用や在庫の変化で基準外となることがあるため、法令・条例への適合状況を定期的に確認することが重要です。

基準を満たしているかを手っ取り早く確認したい方は、以下のチェックリストをご活用ください。

チェック項目確認内容チェック
保管量の管理保管量は指定数量の1/5以下に収まっているか□ はい / □ いいえ
混載ルール混載禁止・制限されている危険物の組み合わせを把握しているか□ はい / □ いいえ
換気設備換気量は基準を満たしており、蒸気やニオイが滞留していないか□ はい / □ いいえ
防油対策防油堤・こぼれ止めが基準どおり設置されているか□ はい / □ いいえ
火気との距離周囲の火気・高温設備との距離は十分に確保されているか□ はい / □ いいえ
表示・標識危険物表示ラベルや注意喚起表示が必要項目すべて揃っているか□ はい / □ いいえ
届出の有無自治体への届出が必要かどうか確認し、対応済みか□ はい / □ いいえ

判断に迷う項目がある場合は、自己判断せず、専門のメーカーや自治体へ相談することが大切です。

現場でよくある法令違反・トラブル

少量危険物は、指定数量未満であれば安全という誤解を持たれやすく、知識不足により意図しない法令違反や労働災害につながるケースが後を立ちません。

実際に現場では以下のような、違反やトラブルが見られます。

  • 数量オーバーに気づけない
  • 混載ルールを間違える
  • 換気不足でニオイや蒸気が溜まる
  • 棚が歪んで危険物が転倒
  • 自治体の検査で指摘される

少量危険物に関するトラブルは、発覚した時点で是正対応や設備の改修、改善工事が必要となり、コストや業務負担の増加につながります。

法令違反や事故リスクを防ぐためには、自己判断での設置や運用を避け、少量危険物の基準に精通した専門メーカーへの相談が堅実な選択です。

少量危険物保管庫の基準を確実に守るためのポイント

以下では、少量危険物保管庫の基準を確実に守るための導入・運用時のポイントを紹介します。

既製品の保管庫を導入

少量危険物保管庫は自社での製作も可能ですが、消防法や火災予防条例を正確に反映させる必要があり、設計ミスや基準漏れが生じるリスクがあります。
その点、各種法令・条例の基準に適合して設計された既製品の少量危険物保管庫を導入すれば、基準違反リスクの回避が可能です。

例えば、ワールドシェアセリングでは、各種法令に適合した保管庫の提供だけでなく、消防署への届出代行にも対応しています。
書類作成や行政対応に不安がある場合でも、専門的なサポートを受けられるため安心です。

専門メーカーの保管庫を導入し、煩雑な手続きを任せることで、基準を確実に遵守でき、導入から運用までスムーズに進められます。

危険物数量をITツールで管理

複数種類の危険物数量を人手で計算すると、入力ミスや確認漏れにより数量オーバーとなり、想定外の法令違反を招きかねません。

一方、Excelや専用の在庫管理システムなどのITツールを活用すれば、危険物の種類と数量を入力するだけで、指定数量に対する倍数を自動で計算し、規制対象を可視化できます。
保管量の変動をリアルタイムで把握できるため、基準を超える前に対応できる点もメリットです。

このようにITツールを活用すると、属人化しがちな管理業務を標準化でき、意図しない法令違反を効率良く防げます。

まとめ:法令遵守と安全確保のために、少量危険物保管庫の基準を守ろう

少量危険物保管庫には、消防法をはじめ、政令や省令、火災予防条例により設置・運用基準が定められています。
構造や設備、届出の要否などを正しく理解せずに設置すると、法令違反や是正指導につながります。

そのため、少量危険物保管庫の導入に少しでも不安がある場合は、専門メーカーや専門家へ相談するのがおすすめです。

少量危険物保管庫の設置に関するご相談は、ワールドシェアセリングまでお気軽にご相談ください。
元消防職員が、適切な保管庫の選定から複雑な行政手続きのサポートまで、お客様の安全な事業運営をワンストップでお手伝いします。

危険物保管庫の設置事例

  • デノラ・ペルメレック株式会社様
    デノラ・ペルメレック
  • TPRエンプラ様
    TPRエンプラ
  • 三森特殊印刷社様
    三森特殊印刷社
  • 海上保安庁(第二管区)様
    海上保安庁
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