「危険物の種類や量が増えてきたが、危険物貯蔵所を新設するのはコストも手続きも大変だ。」
「少量危険物の範囲内で、複数の場所に分けて安全に保管できないだろうか。」
といったお悩みを抱えていませんか。
この記事では、消防法(危険物規制)や自治体の火災予防条例・運用基準を踏まえ、危険物の保管体制を安全・適法に設計するための考え方と実務上の留意点を解説します。
特に、複数カ所で保管・取扱いを行う場合に同一敷地・同一棟等で数量が合計評価され得る点を前提に、許可要否の判断軸、所轄消防署への事前相談で確認すべき論点、査察で説明可能な記録・運用の整備方法を整理します。
将来の不安を減らし、安全で効率的な保管体制の構築に向けた最初の一歩としてご活用ください。
「少量危険物」の定義とは?(指定数量の5分の1以上、1倍未満)

実務上「少量危険物」とは、指定数量未満の危険物のうち、多くの自治体の火災予防条例で規制対象とされる量(一般に指定数量の5分の1以上、指定数量未満)を指します。
指定数量未満のため、消防法に基づく危険物施設としての許可制の対象にはなりませんが、消防法の委任により、各市町村の火災予防条例で管理基準が定められています。
そのため、全国一律の基準ではなく、事業所が所在する自治体の条例内容を確認することが重要です。
少量危険物の保管にあたっては、標識の設置、消火器の設置、保管方法や容器に関する基準など、条例で定められた要件を満たす必要があります。
少量危険物の分散保管の最重要ポイント!「合算ルール」を理解する

少量危険物の分散保管を検討する際、必ず理解しておくべき重要な考え方が、貯蔵・取扱量の合算です。この点を誤解したまま保管方法を決めてしまうと、意図せず法令違反となるおそれがあります。
一カ所ごとの保管量が少量危険物の範囲内であっても、それらが同一の場所で貯蔵・取扱われていると判断された場合、数量は合計して評価されます。その結果、指定数量以上に該当し、消防法上の危険物施設として許可が必要となるケースがあります。
【具体例で解説】複数品目を扱う場合の倍数計算方法
事業所では、ガソリン、軽油、アルコール類など、指定数量の異なる複数の危険物を併せて保管することが少なくありません。
この場合、単純にリットル数を足し算するのではなく、指定数量に対する倍数を品目ごとに算出し、その合計で区分を判断します。
複数の危険物を保管する場合、以下の計算式で指定数量に対する倍率の合計を算出します。
(品目Aの貯蔵量 ÷ 品目Aの指定数量)+(品目Bの貯蔵量 ÷ 品目Bの指定数量)+ … = 倍数の合計
この倍数の合計が規制範囲を判断する基準です。
| 倍数の合計 | 規制区分 | 主な規制 |
| 1 以上 | 指定数量以上 | 消防法 |
| 0.2 以上 1 未満 | 少量危険物 | 市町村火災予防条例 |
| 0.2 未満 | 少量危険物未満(微量危険物) | 条例による一部規制または規制対象外 |
※具体的な取扱いは自治体の条例・運用により異なります。
計算事例:ガソリン100Lと軽油500Lを同じ場所で保管する場合
ある事業所で、ガソリン 100 L と軽油 500 L を同じ保管庫で貯蔵しているとします。
- 各品目の倍数を計算します。
- ガソリンの倍数: 100 L ÷ 200 L(指定数量) = 0.5
- 軽油の倍数: 500 L ÷ 1,000 L(指定数量) = 0.5
- 算出した倍数を合計します。
- 倍数の合計: 0.5 (ガソリン) + 0.5 (軽油) = 1.0
この場合、合計が指定数量以上となるため、結果として危険物施設に該当し、少量危険物としての届出ではなく、危険物貯蔵所等としての許可が必要となる可能性があります。実際の要否は、保管形態や施設区分に応じて判断されるため、所轄消防署への事前確認が不可欠です。
合算の対象となる「同一の場所」の判断基準とは?
合算の対象となるかどうかは、複数の保管場所が同一の場所と評価されるかによって決まります。
同一敷地内や同一建築物内に複数の保管カ所がある場合、合計量が指定数量以上となり得るため、特に注意が必要です。
同一の場所に該当するかどうかは、単に距離や建物の区分だけで機械的に判断されるものではありません。区画の状況、構造、相互の関連性、消防用設備の設置状況などを踏まえ、最終的には所轄消防署の運用に基づいて判断されます。
この判断基準を正しく理解し、事前に確認を行うことが、少量危険物の分散保管を適法に行うための重要なポイントです。
【法的整理】「同一の場所」と見なされないための具体的な条件

ここからは、少量危険物の分散保管において重要となる、貯蔵量が合算されないと判断されるための考え方を、法令および一般的な運用に基づいて整理します。
「どのような条件を満たせば、複数の保管場所を別個の場所として扱えるのか」は、屋外と屋内で判断の視点が異なります。
なお、以下は消防法およびこれに基づく通知・運用基準に照らした一般的な整理であり、最終判断は所轄消防署の運用によって行われます。
屋外で分散保管する場合の条件
屋外に複数の少量危険物保管庫を設置する場合、火災時に相互の延焼や影響が及ばない構成となっているかが判断の中心となります。
その際、主に考慮されるのが離隔距離と防火上有効な遮断措置です。
保管場所間の離隔距離の考え方
保管庫同士の間に、延焼を防止できるだけの距離が確保されている場合、それぞれを独立した場所として評価される可能性があります。
この距離について、全国一律で定められた数値基準は存在しません。
一方で、多くの消防本部の運用では、おおむね10メートル程度以上の離隔距離が一つの目安として示されることがあります。
ただし、これはあくまで参考値であり、周囲の建築物の状況、危険物の性状、保管形態等により判断は変わります。
そのため、計画段階で所轄消防署に配置計画を提示し、事前に確認を行うことが不可欠です。
防火上有効な壁(塀)による遮断
十分な距離を確保できない場合には、防火上有効な壁や塀によって物理的に遮断する方法が検討されます。このような措置により、火炎や輻射熱の影響が遮られる構成であれば、別の場所として評価されやすくなります。
| 項目 | 構造要件の例 |
| 材質 | 鉄筋コンクリート造、コンクリートブロック造などの不燃材料 |
| 構造 | 自立できる構造で、風圧や地震に耐えられるもの |
| 厚さ | 鉄筋コンクリート造で10cm以上、補強コンクリートブロック造で15cm以上など |
| 高さ | 保管する危険物の高さ以上を有効に遮る高さ |
| 開口部 | 原則として設けない |
※これらは法定要件ではなく、判断に用いられる代表的な要素です。
建築物から離して設置する場合の注意点
屋外保管庫は、他の保管庫だけでなく、敷地内の事務所や工場などの建築物との関係も考慮されます。建築物に近接して設置されている場合、建築物内の危険物と一体として評価される可能性があります。
これを避けるためには、建築物から十分な距離を確保する、または面している建築物の外壁が開口部のない耐火構造であることなどが、判断要素です。
屋内で分散保管する場合の考え方
同一の建築物内で分散保管を行う場合、屋外よりも厳格な区画性が求められます。
基本的な考え方は、火災時に発生する火炎・熱・煙が、他の保管場所へ影響しない構造となっているかどうかです。
耐火構造による完全な区画
屋内で複数の保管場所を別の場所として扱うためには、耐火構造の壁・床・天井によって完全に区画されていることが重要な判断要素です。耐火構造とは、通常の火災において一定時間(例:1時間)倒壊や延焼を防ぐ性能を有する構造を指します。
鉄筋コンクリート造の壁・床・柱で四方を囲まれた独立した保管室を想定すると理解しやすいです。
区画を貫通する配管等の措置
耐火区画を配管、配線、ダクト等が貫通する場合、その部分が弱点とならないような措置が必要です。一般的には、不燃材料による隙間の充填や、換気ダクトへの防火ダンパーの設置などが求められます。これらの措置が不十分な場合、区画としての独立性が否定される可能性があります。
異なる階に保管する場合の考え方
建築物の異なる階に危険物を保管する場合、階を隔てる床が耐火構造であれば、原則として別の場所として扱われる可能性があります。
ただし、階段や吹き抜け等により上下階が一体的な空間と評価される場合は、合算対象となることがあるため注意が必要です。
最終判断は所轄消防署|事前相談の重要性
ここまで述べた内容は、消防法の趣旨および一般的な通知・運用に基づく整理です。
実際に同一の場所に該当するかどうかを判断する権限は、事業所を管轄する消防署長にあります。
自治体によっては、より厳格な基準や独自の運用を採用している場合もあります。
そのため、保管庫の設置や分散配置を検討する段階で、配置図や概要資料を持参し、所轄消防署(予防担当)へ事前相談を行うことが、最も確実なリスク回避策です。
分散保管か集中保管か?自社に最適な少量危険物保管方法の選び方

合算の考え方や同一の場所の判断要素を理解したうえで、次に検討すべきなのが、分散保管と集中保管のどちらが自社に適しているかという点です。
いずれの方法にもメリット・デメリットがあり、事業所の規模、業態、取扱う危険物の種類や使用状況によって、最適な選択は異なります。
また、単に法令適合の可否だけでなく、コスト、火災時のリスク、日常管理のしやすさ、作業効率といった複数の観点から総合的に判断することが重要です。
【比較表】事業規模や特性で判断する最適な選択肢
自社にとってどちらの方法が適しているか、以下の比較表でチェックしてみましょう。
| 比較項目 | 分散保管が有利なケース | 集中保管が有利なケース |
| 事業所の広さ | 敷地が広く、作業場所が点在している | 敷地が比較的コンパクトにまとまっている |
| 取扱う危険物の種類 | 多品種の危険物を少量ずつ使用する | 少品種の危険物を大量に使用する |
| 使用頻度・場所 | 各部署で頻繁に少量ずつ使用する | 特定の場所で一括して大量に使用する |
| 重視する点 | 火災時の被害局所化、作業効率 | 管理の簡素化、運用コストの低減 |
| コスト許容度 | 初期投資(総額)は高くても良い | 初期投資(一括)は高くても良いが、運用コストは抑えたい |
※上記はあくまで一般的な傾向であり、法的な可否や優劣を断定するものではありません。
【専門家が解説】法令遵守とコスト削減を両立する少量危険物保管庫の選び方

ここまで解説してきたように、少量危険物の分散保管には、複雑な法令解釈や状況判断が求められます。
自社だけですべてを完璧に対応するのは、担当者にとって大きな負担となりかねません。
そこで有効なのが、危険物保管庫の専門家を活用することです。
なぜ専門家への相談が最適な近道なのか?
法令遵守と安全確保を確実に行う上で、専門家への相談はもっとも効率的で確実な方法と言えます。
複雑な法令解釈と地域ごとに異なる消防の壁
消防法は全国共通ですが、少量危険物を規制する火災予防条例は市町村ごとに内容が異なります。
さらに、条例の解釈や運用基準(ローカルルール)は、所轄の消防署によって微妙に違うことも少なくありません。
専門家は、これらの複雑な法令や地域の特性に関する豊富な知見を持っており、貴社の状況に合わせた最適なアドバイスを提供できます。
時間と労力を大幅に削減するワンストップサービスの価値
危険物保管庫の導入には、消防署との事前協議、各種申請書類の作成・提出、設置工事など、多くのステップが必要です。
株式会社ワールドシェアセリングでは、これらの煩雑な手続きをすべて代行するワンストップサービスを提供しています。
担当者様が本来の業務に集中できる環境を整え、時間と労力を大幅に削減します。
ユニットハウス型保管庫という最適解
株式会社ワールドシェアセリングが全国トップシェアを誇るユニットハウス型の少量危険物保管庫は、多くの企業にとって最適なソリューションとなり得ます。
短納期・移設可能・高品質というメリット
工場で製造してから現場に搬入するため、天候に左右されず品質が安定しており、短期間での設置が可能です。
また、将来的に事業所のレイアウト変更が必要になった場合でも、ユニック車やクレーンで容易に移設できる柔軟性は、従来の建築物にはない大きなメリットです。
多様なサイズとオプションでジャストフィット
0.5坪のコンパクトなタイプから3坪の大型タイプまで、保管量や設置スペースに応じた豊富なサイズを展開しています。
さらに、防火扉、換気設備、消火器、漏洩した液体を集める溜桝など、法令で求められる設備をオプションとして自由に組み合わせることが可能です。
これにより、貴社のニーズにまさにジャストフィットする保管庫を導入できます。
ワールドシェアセリングが選ばれる理由と導入プラン
実際の導入事例として、潤滑油などを扱う辰巳屋興業株式会社様では、約9.5平方メートルの3坪タイプの保管庫を導入し、限られたスペースでの作業効率向上を実現しました。
導入にあたっては、初期投資を抑えたい企業向けの譲渡付レンタルプランや、直接購入するプランなど、予算や事業計画に合わせた柔軟な選択肢が用意されています。
さらに、消防法や条例に関する深い専門知識を活かし、計画から運用までを一貫して支援するトータルサポート体制も強みです。危険物保管庫市場で全国トップシェアを獲得している実績が、その信頼性を裏付けています。
まとめ:戦略的な分散保管で安全と効率、コンプライアンスを確立する

少量危険物の保管は、単に「決められた場所に置く」という単純な作業ではありません。
それは、消防法や市町村条例といった複雑な法規制を理解し、自社の事業内容や施設状況に合わせて、安全性、効率性、そしてコストのバランスを最適化する戦略的な取り組みです。
特に、分散保管を成功させるためには、合算ルールと、それを回避するための同一の場所と見なされない条件を正確に理解することが不可欠です。
しかし、これらの判断には専門的な知識が必要であり、最終的には所轄消防署の判断に委ねられます。
法令遵守の徹底と、担当者様の負担軽減、そして何よりも事業所の安全を確実なものにするために、計画段階から専門家へ相談することをおすすめします。
適切な保管庫の選定から、煩雑な消防協議や申請手続きまで、専門家のサポートを活用することで、安全で効率的な保管体制をスムーズに確立できます。



