企業の安全衛生を担当する皆様、このようなお悩みはありませんか?
- 「消防署の立ち入り検査(査察)が近いが、少量危険物の消火器準備が万全か不安だ」
- 「新しく扱う燃料や消毒液が危険物(または条例上の規制対象)に該当するのか、どの区分で扱うべきかわからない」
- 「消火器が必要なのはわかるが、種類・本数・設置場所の根拠が知りたい」
少量危険物の規制は、消防法の委任を受け、市町村の火災予防条例・運用基準で具体的に定められており、専門家でなければ全体像を把握するのは困難です。しかし、知識が曖昧なまま対策を怠ると、立ち入り検査(査察)での指摘や、万が一の火災時に深刻な事態を招きかねません。
この記事を読めば、少量危険物に関する消火器設置の法的根拠から、具体的な選び方、設置基準、そして管理方法まで、担当者が押さえるべき基本を体系的に理解できます。法令を遵守し、企業の安全と信頼を守るために本記事で正しい知識を身につけましょう。。
【まずはチェックリストで確認】消火器設置の基本ポイント7項目

少量危険物を扱う場所に消火器を設置する際、消防法・火災予防条例・一般的な設置基準を踏まえた確認が必要です。以下は、多くの自治体で共通してチェックされる基本的なポイントです。
まずは自社の状況がこれらを満たしているか、チェックしてみましょう。
| チェック項目 | 基準 | なぜ必要?(ポイント) |
| 1. 歩行距離 | 消火器から20m以内(または管轄の市町村条例で定められた距離)であるか? | 火災発生から初期消火までの「ゴールデンタイム」を逃さないためです。すぐに手に取れる距離にあることが重要です。 |
| 2. 設置の高さ | 床面から概ね1.5m以下の高さか? | 誰でも容易に持ち出せる高さに設置する必要があります。高すぎると緊急時に取りにくくなります。 |
| 3. 設置場所 | 見やすく、容易に取り出せる場所か? | 通行や避難の邪魔にならず、かつ誰の目にも留まる場所に設置します。物陰や倉庫の奥などは不適切です。 |
| 4. 標識の有無 | 「消火器」と書かれた標識があるか? | 消火器の近くの見やすい箇所に標識を設けることで、緊急時にその場所をすぐ認識できるようにします。 |
| 5. 避難経路の確保 | 通行や避難の邪魔になっていないか? | 避難の妨げになるような場所への設置は厳禁です。ドアの近くや狭い通路に置く際は特に注意が必要です。 |
| 6. 温度・湿度の管理 | 高温・多湿の場所を避けているか? | 消火器本体の劣化や薬剤の変質を防ぎます。直射日光が当たる場所や、水に濡れる恐れのある場所は避けましょう。 |
| 7. 付加設置の要否 | 少量危険物のために追加で設置しているか? | 建物全体の消火器とは別に、少量危険物を扱う場所そのものに対して追加で設置(付加設置)が求められます。 |
これらの基準は最低限確認すべき基本事項であり、設置本数・能力・設置要否の最終判断は、危険物の種類・数量・設置形態・自治体条例によって異なります。
必ず、管轄の消防署(予防課等)で確認した上で設置・運用してください。
「少量危険物」の定義と消火器設置の法的な考え方

「そもそも、どのようなものが少量危険物に該当するのか?」
「なぜ消火器の設置が法律で義務付けられているのか?」
ここでは、少量危険物に関する定義と法的な位置づけについて整理します。
日本の消防に関する規制は、国が定める消防法を基本とし、その委任を受けて、各市町村が火災予防条例および運用基準で具体的なルールを定める構造になっています。
そして、少量危険物に関する詳細な取扱い基準や消火設備の要否は、この条例側で定められるため、地域差が生じます。
指定数量の5分の1以上が対象|ガソリン・灯油の具体例
少量危険物とは、消防法で定められた危険物の種類ごとの基準量(指定数量)である、5分の1以上、指定数量未満の量を指します。
言葉だけではわかりにくいので、身近な例で見てみましょう。
| 品名 | 消防法上の分類 | 指定数量 | 少量危険物に該当する数量 |
| ガソリン | 第4類 第1石油類 | 200リットル | 40リットル以上 200リットル未満 |
| 灯油・軽油 | 第4類 第2石油類 | 1,000リットル | 200リットル以上 1,000リットル未満 |
| アルコール類(濃度60%以上) | 第4類 アルコール類 | 400リットル | 80リットル以上 400リットル未満 |
例えば、ガソリンならドラム缶1本(200リットル)未満であっても、携行缶2つ分(40リットル)以上あれば少量危険物として条例の規制対象となります。
また、指定数量の5分の1未満であれば、少量危険物としての届出が不要となる場合が多い一方、物質や数量によっては、指定可燃物等として条例の別規定の対象になることがあります。量の多少にかかわらず、危険性がなくなるわけではないため、火気の管理や保管環境への配慮といった基本的な安全管理は不可欠です。
消火器設置義務の根拠は「火災予防条例」|地域ごとの確認が必須な理由
少量危険物を取り扱う場所では、初期消火体制を確保するため、消火器の設置が市町村の火災予防条例やその技術基準により求められます。
消火器の種類・能力単位・設置本数などは全国一律ではなく、危険物の種類、数量、屋内外、設置条件などを踏まえて、各自治体が基準を定めています。
そのため、一般的な情報だけで判断せず、条例の確認や所轄消防署への事前相談を行うことが、法令遵守の前提となります。
条例の確認方法は主に2つあります。
- 条例を直接確認する: 「〇〇市 火災予防条例」と検索し、該当する条文を確認します。
- 消防署に問い合わせる: もっとも確実な方法です。管轄消防署の予防課に電話し、「少量危険物の消火器設置基準について」と問い合わせましょう。
【種類と能力単位】少量危険物に適した消火器の正しい選び方

少量危険物のために消火器が必要だとわかったら、次はどの種類・能力の消火器を選ぶべきかを押さえましょう。消火器は万能ではなく、火災の性質に合うものを選ぶことが基本です。
油火災(B火災)には「粉末(ABC)」などB火災適応品を選ぶ
火災は、燃えるものの性質によって大きく3種類に分類されます。消火器本体には、使用できる火災区分が普通火災用/油火災用/電気火災用などの表示と、適応火災マークで示されています。
| 火災の種類 | 名称 | 対象物 | ラベル表示 |
| A火災 | 普通火災 | 木材、紙、繊維など | 白地に緑の丸 |
| B火災 | 油火災 | ガソリン、灯油、アルコール類など | 黄色地に黒の丸 |
| C火災 | 電気火災 | 電気設備、配電盤など | 青地に黒の丸 |
ガソリンや灯油、アルコール類など、少量危険物の多くは、B火災(油火災)の原因となります。そのため、少量危険物を扱う場所には、B火災に適応する消火器(例:粉末(ABC)消火器、強化液消火器 など)を選定するのが基本です。
※なお、油類(特に非水溶性の油)への放水は、火炎を広げるおそれがあるため、初期消火は必ず適応した消火器で行ってください。
「能力単位」とは?消火能力を示す数値(例:A-3・B-7・C)
消火器のラベルには、「A-3」「B-7」「C」といった表示があります。このうち、AやBの右側の数字が能力単位で、数値が大きいほど消火能力が大きいことを示します。(一般にCは“電気火災に適応”を示し、能力単位の数値は付されません。)
たとえば、広く普及しているABC粉末10型は、製品表示としてA-3・B-7・Cとなっている例が多く、選定候補になりやすいタイプです。
ただし、必要な能力単位(何本必要か)は、自治体条例や貯蔵・取扱い条件で変わるため、最終的には管轄の条例・消防署で確認してください。
少量危険物では消火器は何本必要?本数の決め方

では、少量危険物を扱う場所では、消火器を何本設置すれば良いのでしょうか。
本数の判断には、主に次の2つの考え方が関係します。
- 能力単位の考え方
- 多くの市町村では、少量危険物の貯蔵・取扱いに対して、条例やその運用基準で、一定以上の能力単位を有する消火器の設置を求めています。
- 必要とされる能力単位は、危険物の種類・数量・設置形態(屋内/屋外)などにより異なります。
- 歩行距離の考え方
- 消火器は、危険物を取り扱う場所の各部分から、定められた歩行距離以内で到達できる位置に設置する必要があります。
- 一般には「20m以内」が目安として使われることが多いものの、最終的な距離基準は自治体条例に従う必要があります。
「付加設置」という考え方に注意
また、少量危険物の場合、建物全体の床面積で消火器本数を算定するのではなく、危険物を貯蔵・取扱う場所そのものに対して、追加で消火器を設置する、いわゆる付加設置が問題になることがあります。
これは多くの自治体で採られている考え方ですが、必ず追加設置が必要かどうかは、条例・配置条件・既存消火器との関係によって異なります。
本数判断の基本的な整理
ここまでをまとめると消火器の必要本数は、一般的には、
- 少量危険物を扱う場所ごとに
- 条例や運用基準で求められる能力単位を満たす消火器を
- 定められた歩行距離以内で使用できる位置に設置する
という考え方で検討されます。
たとえば、広い工場内で2か所に分けて少量危険物を保管している場合、それぞれの保管場所から歩行距離基準を満たすよう、複数本の消火器が必要になる可能性があります。
ただし、最終的な本数・設置要否の判断は、市町村条例および所轄消防署の指導によります。必ず事前に確認した上で設置計画を立ててください。
設置して終わりではない!消火器の点検・交換・廃棄の重要ルール

消火器は、設置すれば終わりではありません。いざという時に確実に使える状態を維持することが、法令上も実務上も求められています。
消火器の点検義務について
消防法では、防火対象物に設置された消火器を含む消防用設備等について、定期的な点検と記録の作成・保存が、防火管理上の責任者等に義務付けられています。
点検の内容や頻度は、
- 建物の用途
- 規模
- 設置されている設備の種類
によって異なります。
また、点検には段階があり、
- 外観点検・日常確認:管理者自身で実施可能
- 機器点検・総合点検:消防設備士等の有資格者による実施が必要
と、役割が分かれています。
消火器の交換目安(設計標準使用期限)
業務用消火器には、設計標準使用期限が設定されており、多くの製品では製造からおおむね10年とされています。
この期限は、消火器本体のラベルに明記されているため、必ず個々の消火器で確認してください。
使用期限を超えた消火器は、経年劣化による性能低下や、圧力容器としての安全性低下が懸念され、事故が報告された例もあります。期限内での更新が重要です。
消火器の正しい廃棄方法
不要になった消火器は、一般ごみや粗大ごみとして廃棄してはいけません。消火器は消火器リサイクル制度の対象となっており、リサイクルシールに基づき、
- 消火器販売店
- 指定引取場所
- 専門の回収業者
を通じて回収・処理する必要があります。
プロに相談して法令遵守と安全・コストを両立する

ここまでお読みになり、「少量危険物に関する法令は複雑で、自社だけで判断・対応するのは負担が大きい」と感じた方も多いのではないでしょうか。
特に、保管場所の確保や、煩雑な消防署との協議は担当者にとって大きな負担です。
こうした場合、専門知識を持つ事業者のサポートを活用することで、対応をスムーズに進めやすくなります。
例えば、私たち株式会社ワールドシェアセリングでは、単に製品を販売するだけでなく、お客様の安全管理全体をサポートするソリューションを提供しています。
- ユニットハウス型危険物保管庫
- 工場で完成品として製造するため、現場での工期が短く、設置や移設も容易です。
- 少量危険物に関する条例要件や設置条件を踏まえた計画検討がしやすい点も特長です。
- 消防協議まで含めたワンストップサポート
- もっとも煩雑な所轄消防との事前協議から、各種申請手続き、設置までを一貫してサポートします。
- お客様はコア業務に専念でき、法令遵守に関する不安から解放されます。
全国トップクラスのシェアと、2,600件以上のお問い合わせ実績があります。
少量危険物の管理にお困りの際は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。
まとめ:適切な消火器の設置は、企業の信頼を守る第一歩

少量危険物を扱う場合、消火器は設置すれば終わりではなく、種類の選定・能力単位・本数・設置位置・維持管理まで含めて適切に管理する必要があります。
特に、少量危険物は油火災(B火災)を想定するケースが多く、B火災に適応した消火器を選ぶことが基本です。
消火器の本数は、能力単位と歩行距離という考え方を軸に、危険物を貯蔵・取扱う場所ごとに検討する付加設置が問題となることが多く、建物全体の基準だけでは判断できません。
また、設置後も、消防法に基づく定期点検、使用期限を踏まえた交換、リサイクル制度に沿った適切な廃棄が求められます。
これらの判断は、市町村条例や所轄消防署の運用により異なるため、自己判断せず、早い段階で消防署や専門家のサポートを活用することが、法令遵守・安全確保・コスト最適化の近道といえます。



