地盤調査コラム

n値とは?建築に必要な値や低い場合の改善方法を解説

n値とは?建築に必要な値や低い場合の改善方法を解説

土地の調査で用いるn値は、住宅やビル、商業施設などの建物を建てる前に土地の強度を調査する際の指標です。数字が大きいほど硬く締まった地盤であり、建築に適した土地かどうかの判断材料になります。

今回は、このn値について詳しく紹介するとともに、値の求め方や建築に適した基準値、値が低い土地に建築する場合について解説します。

n値とは?求め方や換算n値との違い

日本国内に関わらず、世界中で地盤の影響を受けて建物が傾くことはあります。しかし、建物を建てるには高額な費用がかかることや、マイホームだった場合は、生活できなくなる恐れもあるため、建築における地盤は重要な役割を担います。

そのため事前の調査が重要であり、用いる指標や数値の意味を理解することが必要です。そこで、はじめにn値とその求め方、換算n値との違いについて見ていきましょう。

n値とは

n値は「えぬち」と読み、地盤の強度を示す指標です。一般的にはボーリング調査とよばれる標準貫入試験を行い求められ、63.5kgプラスマイナス0.5kgの重りを76cmプラスマイナス1cmの高さからハンマーで叩いて落下させて、標準貫入試験用のサンプラーが地面に30cm沈むまで打ち込まれた回数をもとに評価するものです。

この試験は、試験に使った土の採取を目的としていることもあります。n値の「N」は叩いた回数、つまりNumberの略となっています。叩いた回数が多いということは、それだけ硬い地盤であることを意味します。

標準貫入試験(ボーリング調査)によって算出されるn値に対して、換算n値はスクリューウェイト貫入試験(SWS)から得られた数値を計算式によってn値に換算した値です。戸建住宅における地盤調査では、こちらのスクリューウェイト貫入試験の実施が一般的です。

n値の求め方

n値は、標準貫入試験でサンプラーが基準に達するまで打ち込まれた回数がそのまま採用されます。たとえば、15回打ち込んで条件を満たした場合、n値は15となり、50回であればn値は50になります。そのため、数値が大きくなるほど硬くてよい地盤と判断されることが特徴です。

n値と長期許容応力度(qa)の関係

地盤は硬ければよいというわけではなく強さも重要な項目です。いくら硬くても刺激を受けたときにもろいようでは、建築に向いているとはいいきれません。長期許容応力度は、強さを示す指標の1つで、建築する際に重要な基準となっています。

主に、屋根荷重などの固定荷重、家具などの積載荷重に対する許容応力度が、50年でどれくらいかかり、それに対してどれだけの耐久力があるかを測ります。たとえば、大型家具を部屋に置いた場合に、数年程度で床がへこむ場合がありますが、こうした耐久力を地盤に対して行うものです。

また、n値の10倍が目安とされているため、n値から判断することもできます。

建物を建てるのに必要なn値の値

ここまでn値についてお伝えしてきましたが、どのくらいの数値があれば建築に適しているのでしょうか。ここでは、建物を建てる際の数値の基準と改良工事が必要になるケースについて見ていきましょう。

n値が5以上あれば建築は可能

一般にn値が5以上であれば、建築できると判断され、具体的には5~10あればより安定しているといえます。しかし、これはあくまでもひとつの基準であり、建物がマンションなどのように高層で重い場合や地震発生時には、地盤沈下や液状化現象が起こる可能性もあります。

土壌によっては改良工事が必要な場合がある

地盤は硬さや強さのみならず、土の性質も重要なポイントです。たとえば、ロケーションによっては腐葉土や新しい盛土などであるケースもあるでしょう。このような特殊な性質を持つ土壌の場合は、n値がどんなに大きくても地盤改良工事を行わなければならないケースもあります。

n値が低い場所に建物を建てるには

建築予定地のn値が十分ではない場合、本来なら別の土地を探すのがベターです。しかし、どうしてもその土地に建築したい・しなければならない場合は、状態に応じて3つの改良工事を行います。ここではそれぞれのメリット・デメリットを踏まえ解説します。

表層改良工事

地表から2m程度の浅いところに軟弱な部分があるときは、表層改良工事での施工が可能です。軟弱な部分を掘りだし、セメント系固化材を混ぜた土を戻し、人工的に締め固めて補強します。

軟弱な地層が浅い場合は、費用を抑えられる一方で、勾配のきつい土地や施工箇所よりも地下水位が高い場合は、施工が難しいか対応できない場合があるので注意が必要です。

柱状改良工事

軟弱地盤が2m~8mの場合、柱状改良工事が可能です。地盤に50cm前後の円柱状の穴を掘り、そのなかにセメント系固化材を入れて柱状にした改良杭を差し込み、建物を支える工法です。

丈夫な地盤がなくても施工でき、費用も比較的抑えられる一方で、有機質土などセメントとの相性が悪い地盤の場合は、固化不良を起こすことがあります。加えて、改良後は地盤の原状復帰が難しい一面もあります。

鋼管杭工事

丈夫な地盤のうえに厚く軟弱地盤があるときは、鋼管杭工事が可能です。丈夫な地盤まで鋼管杭を打ち込み建物を支える工法です。

ほかの工事に比べて強度が高く地中30mまで補強できるほか、狭小地でも短工期で施工できるメリットがあります。しかし、丈夫な地盤がなければ施工不可、費用が高額な傾向があります。

n値とは建築において重要な指標ですが、地盤の状況もまた重要です。こちらでは、腐植土が多い地盤の特徴や改良方法、費用相場について解説しますので併せてご覧ください。

まとめ

今回は、地盤の硬さを示す指標n値について解説しましたがいかがだったでしょうか。地盤の状態は表面から把握することは難しく、とくにマイホームなどを建てる際には重要な要素になります。そのため、建築前の調査はしっかり行うことが大切です。

ワールドシェアセリングでは、地盤調査・解析をはじめ地盤改良などを行っています。地盤と建物のエキスパートとして、確かな調査を行い適切なアドバイスを提供します。地盤の調査・改良のことならどんなことでもご相談ください。