省エネ計算コラム

長期優良住宅で後悔する理由は?一般住宅にはない魅力とは

長期優良住宅で後悔する理由は?一般住宅にはない魅力とは

長期優良住宅は、耐震性や省エネ性能などの面で国の基準を満たす高品質な住宅のことをいいますが、建築期間の長期化や、間取りやリフォームなどの制限があるなど、のちのち後悔するケースもあります。

なかには、長期優良住宅の申請をしない・取り消したいという方もいますが、なぜそんなに後悔するのでしょうか。そこで今回は、長期優良住宅で後悔する理由と、認定取得による魅力についてわかりやすく解説します。

長期優良住宅で後悔するといわれる理由

長期優良住宅は、新築や戸建てにおいて劣化対策や耐震性・省エネ性能など多岐にわたる基準を満たした住宅のことを指します。申請をすることで、長く安全に暮らせる住宅だと国から認定してもらえるのです。

しかし、意外にも後悔するケースが多くあり、賛否両論な意見が飛び交っています。はじめに、後悔する理由から見ていきましょう。

一般住宅に比べて建築期間が長くなるため

一般的な住宅とは異なり、着工前に自治体から認定を受けなければならないため、トータル的な建築期間が長くなる点があげられます。

長期優良住宅の申請から認定までは、数週間から1か月ほどかかるほか、事前に提出書類を準備するなど、一般的な住宅に比べて手続きに時間がかかります。

もしも、賃貸住宅から引っ越す予定なら、建築期間の長期化により余分に家賃がかかる場合もあるでしょう。また、建築期間が長引くことでスケジュールの立て直しが必要なことや、コストの増加なども関係しています。

認定の申請に費用がかかるため

事前の申請には、費用がかかります。日本では住宅に関する申請関連の多くに諸費用がかかりますが、具体的な金額を把握しないで申請した場合は、負担になることもあり得ます。

所管行政庁にもよりますが、自分で申請し、行政に認定基準に関わる全審査を行ってもらう場合は4~8万円程度 からが相場です。また、ハウスメーカーなどに代行してもらう場合は20万円~30万円程度が相場です。いずれの場合も、延べ面積などの条件によって金額は変動します。

事前にこれらの金額を確認できなかった場合は、自己資金への負担や余裕がなくなることも考えられます。高品質な住宅と認められるための申請だけで、こんなに費用がかかるのか!と後悔する人も少なくないのです。

住宅の間取りや設計に制限があるため

長期優良住宅では、さまざまな基準を満たすために間取りや設計に制限があります。主に、耐震等級3を満たすために必要なのですが、耐震壁をバランスよく配置する関係から、思い描いていた間取りにできないケースがあるのです。

せっかくのマイホームなので、理想通りの間取りにしたい方が多いと思いますが、実現できないために後悔することもあります。

定期メンテナンスが必要で手間がかかるため

定期メンテナンスの実施は、認定を維持するための条件であり、維持保全計画に沿った内容で実施しなければなりません。

メンテナンスは施工会社が行うので、その都度費用がかかります。一般的な住宅でもメンテナンスに関するコストはかかりますが、それ以上に定期的な支払いが発生してしまうのです。

住宅維持に必要不可欠な費用だとしても、やはり一般的な住宅よりも建築後の費用がかかることは、のちのち後悔しやすい部分だといえるでしょう。

自由に増改築やリフォームを行えないため

高品質かつ安全な住宅である長期優良住宅は、認定基準が詳細なために、増改築やリフォームの際にも詳細な基準をクリアしなければなりません。すなわち、自由な増改築やリフォームができないのです。必要に迫られて実施する際は、あらためて許可を得る必要があります。

家族構成やライフスタイルの変化により、増改築やリフォームを行うのはよいことです。しかし、建築時点で10年20年先のことを完璧に予測するのは困難なため、いざ必要となったときに後悔するケースもあります。

このように、長期優良住宅を手に入れて後悔する方は少なくありません。しかし、こうした懸念点がある一方、多くの魅力もあります。次は、長期優良住宅ならではの魅力を見ていきましょう。

長期優良住宅ならではの魅力

国が定める基準を満たした、高品質で安全性の高い住まいである長期優良住宅には、住宅ローンの金利優遇や節税効果など多くの魅力があります。ここでは、長期優良住宅ならではの魅力を解説します。

資産価値を高められる

国が定める住宅の劣化対策や耐震基準を満たしているため、住宅そのものの資産価値を高めることができます。100年程度の耐用年数を想定しているため、次に住む人にとっても高品質な状態を維持できることも魅力でしょう。

定期メンテナンスの実施によって資産価値が下がりにくいので、万が一売却するとしても比較的高く売却でき、売り手も付きやすい傾向があります。

住宅ローン金利の優遇を受けられる

長期優良住宅を建てる魅力として、住宅ローンの金利優遇措置を受けられることが挙げられます。代表的なものでは、住宅金融支援機構が提供するフラット35Sの場合、当初の5年間は0.5%の金利引き下げが可能です。 (2024年3月現在)

そのほか、長期優良住宅であればフラット50も利用できるので、長期的に住宅ローンを支払う場合でも安定的な金利が適用されます。

住宅ローンにおける金利は、支払総額で考えると相当な金額になります。35年や50年という長い期間で支払うため、少しでも優遇されるほうが家計への負担も軽減できるでしょう。

税金の控除を受けられる

新築で長期優良住宅を建てた場合、所得税・登録免許税・不動産取得税・固定資産税について控除を受けられます。また、所得税は、住宅ローン減税と投資型減税のいずれかを選択して、控除を受けることができます。

住宅ローン減税では13年の間、借入限度額を4,500万円、控除率を0.7%として、最大409.5万円の控除が受けられます。

投資型減税を選んだ場合、認定基準を満たすためにかかった費用の10%相当額(上限額650万円・最大控除額65万円)が控除されます。

登録免許税は、本則であれば税率は0.4%ですが、が長期優良住宅なら0.1%に引き下げられます。、不動産取得税は、控除額が1,200万円から1,300万円へ増額になります。

さらに固定資産税が1/2減額となる措置は、戸建ての場合一般住宅であれば3年間のところを5年間へ、マンションの場合5年間から7年間へ延長になるなど、大幅に節税できることが魅力です。

地震保険料が安くなる

地震保険には割引制度があり、なかでも免震建築物割引と耐震等級割引(耐震等級3)のいずれかが適用されます。これらの割引率はいずれも50%なので、地震保険料が実質半額になる計算です。

一般住宅の場合は多くても30%程度であることを考慮すると、認定を受ける方が保険料の負担を軽減できます。

補助金を活用できる

長期優良住宅を建てる場合、国や自治体が給付する補助金を利用できます。主な補助金事業には戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH) 化等支援事業や子育てエコホーム支援事業、長期優良住宅化リフォーム推進事業などがあります。

戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH) 化等支援事は、2050年カーボンニュートラル達成に向けたZEH普及を目的とする補助制度です。ZEH基準を満たす新築戸建住宅は55万円、ZEH+の戸建住宅は100万円の定額補助があるほか、要件を満たせばさらに別途補助が出ます。

子育てエコホーム支援事業は、2023年度まで公募のあったこどもエコすまい支援事業の後継であり、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象とした補助制度です。新築戸建購入に際して、ZEHであれば80万円、長期優良住宅であれば100万円が補助されます。

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、省エネ性能などを有する住宅への改修工事を対象に、1戸あたりの上限を80万円として工事費用の1/3を給付します。こちらは、長期優良住宅認定を取得する場合は上限160万円にアップします。

こうした国の取り組みを活用することで、費用の負担を軽減することにつながるでしょう。 長期優良住宅について調べていると「BELS」という言葉を目にすることも多いのではないでしょうか。こちらの記事では、BELSの概要や関連する補助金について解説します。

まとめ

今回は、長期優良住宅での後悔と魅力を紹介しました。長期優良住宅は、国が定める基準をクリアすることで認定され、耐用年数は100年を想定している高品質で安全な住宅です。

着工前の申請に時間がかかる、建築後の増改築やリフォームに自由がないなど、気になる部分はありますが、金利優遇や税金の控除などを含めると、生涯における安全や健康、お金に関する部分でも検討する余地があるでしょう。

ワールドシェアセリングは、建築物のエネルギー消費性能基準を計る省エネ計算を行っています。また、住宅建築の際は地盤調査や地盤改良にも対応し、各種申請業務も代行しています。長期優良住宅の省エネ計算のことなら、ぜひワールドシェアセリングにご相談ください。
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