地盤調査コラム

不同沈下とは?意味や地盤沈下との違い・起こる原因を解説

不同沈下とは?意味や地盤沈下との違い・起こる原因を解説

不同沈下という言葉をご存じでしょうか。不同沈下が起きてしまうと、建物にさまざまな不具合が生じ、生活に支障をきたすことがあります。

今回は、不同沈下について解説します。新築予定の方は、不同沈下を引き起こさないためにどのような対策を採るべきか、今回の内容をしっかり把握しましょう。

不同沈下とは

不同沈下とは不等沈下とも呼ばれ、建物が不揃いに沈み、傾いてしまうことを指します。傾きが生じると、本来水平に建っているべき建物の一部のみに荷重が集中してしまい、建物へ多くの悪影響を及ぼします。

実際には、ドアの鍵をかけられなくなる・雨漏りが起こる・エアコンの効きが悪くなるなどが、不同沈下によって起こる現象の代表例です。このように、不同沈下によって日常生活のあらゆるところに支障をきたします。

また、雨漏りが起こると建物の基礎部分が腐食されてしまい、建物自体の寿命が短くなってしまいます。建物への負荷が大きいと、最悪の場合、建物自体が倒壊することもあるでしょう。

ほかにも、不同沈下は身体へ健康被害を与える場合もあります。たとえば、めまいや頭痛、吐き気などが引き起こされます。床が傾いていることへのストレスを感じる方もいるでしょう。

不同沈下と地盤沈下の違い

地盤沈下は、建物が均等に沈むことを指します。不同沈下とは違い、建物が沈下によって傾くことはありません。

また、建物の傾きの有無にかかわらず、地盤が沈むことの総称として「地盤沈下」という言葉を用いる場合もあります。この場合、広域にわたる地盤沈下と局所的な地盤沈下に分けられます。広域にわたる地盤沈下は、地震による自然現象や工事・地下水の組み上げなどの人為的要因が主な原因です。

一方、局所的な地盤沈下は建物の重みで不ぞろいに沈む状態となるため、建物自体が傾きます。よって、このことを不同沈下と呼び、地盤沈下とは分けて考えられています。

不同沈下が起こる原因

不同沈下が起こる主な原因は地盤が軟弱になることですが、地盤が軟弱になる原因まで突き詰めるとさまざま現象が関係しています。

今回は、不同沈下が起こる根本的な原因を6つ紹介します。原因を把握しておくと、マイホームを建てる際の土地選びにも役に立つため、ぜひ参考にしてみてください。

盛土や切土で造成しているため

盛土とは、土地を平らにするために傾斜のある土地や低い土地へ土砂を盛ることです。切土とは、傾斜のある土地を削って平らな土地にすることです。これらを行った地盤を、切盛土地盤といいます。

住宅のなかには、切盛土地盤を造成して建物を建てることがあります。しかし、この盛土と切土の造成がきちんとなされていない場合は、不同沈下が発生しやすくなります。

この場合の主な原因は盛土にあります。切土は既存の固い地盤であることがほとんどですが、盛土は新たに造成した地盤であり、盛土に使われる材料の品質や施工のよしあしによって頑丈さが大きく左右されるためです。

盛土を造成するには、質のよい盛土に仕上げる必要があります。具体的には、異物(木片や岩)の混入がない盛土や擁壁の排水処理がきちんと行われている盛土など、建物を建てる場所に沿って適切な対応をしなければいけません。

質のよい盛土にするためには、地盤として固めるために盛土を数年寝かせる時間を設ける・盛土に使う材料を見極める・強度の確認をするなどで対策をとります。

荷重が偏っているため

荷重が偏った建物が軟弱な地盤のうえに建っている場合は、不同沈下が起こる可能性があります。重さが過剰にかかっている部分が急速な沈下を引き起こしてしまうため、不同沈下を防ぐには荷重を均等に分散しなければいけません。

地層の傾斜や軟弱層の厚さが一様でないため

地盤の均等性が欠けていると、不同沈下を起こしやすくなります。均等性を測る要素の具体例は、地層の傾斜や軟弱層の厚さです。軟弱層の間に硬質層がある場合も、地盤が不安定になります。

硬質層より軟弱層の方が沈下しやすいため、軟弱層のうえに建物を建てる場合は、硬質層よりも手を加える必要があります。

瓦礫やガラなどの埋設物があるため

前述したとおり、軟弱な地盤は不同沈下を引き起こしやすいです。軟弱な地盤になりやすい要素として「雨水を含みやすい」という特性があります。

雨水を含みやすくなる原因のひとつが、瓦礫やガラ(建設廃材の総称)など、埋設物が含まれた材料で盛土を作った場合です。こうした地盤は瓦礫の隙間に土砂が流れ込む可能性があり、地盤に多量の雨水や土砂が含まれることで、最終的に不同沈下を引き起こします。

雨水や地下水で土が動くため

地盤自体が問題ではなく、場所自体の特性によって不同沈下が発生することがあります。その代表例は、雨水や地下水が流れやすい場所です。

雨水や地下水は土の中へ浸透したあと、流れやすい方向に土を動かします。そのため、場所によっては雨水や地下水の流れから影響を受け、不同沈下が起こる場合があります。

埋め戻しや締固めが十分でないため

埋め戻しとは、掘削した地面を土で埋め戻すことです。締固めとは、大きな粒子の隙間を小さな粒子で埋め、崩れないように土壌の密度を高くして固めることです。

この埋め戻しや締固めの作業が不十分である場合は、不同沈下を引き起こしやすくなります。また、埋め戻しや締固めが不十分であることは、地震が起こった際に発生する液状化現象の原因にもなり得ます。

こうした軟弱な地盤は、改良工事を行うことで安全性を確保しなければなりません。

こちらの記事では、地盤改良が必要なケースや工法の種類を解説しています。ぜひお役立てください。

まとめ

今回は、不同沈下について解説しました。不同沈下は地盤が軟弱であることで主に発生するため、建設前によい地盤を作ることが大切です。

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