地盤調査のコラム
地盤調査報告書の見方は?見るときのポイントも解説
新しく家を建てるにあたって、地盤調査を行い地盤の状態を確認しなければなりません。この地盤調査の結果が詳しく記載されているのが、地盤調査報告書です。しかし、項目が細かく専門用語も多いため、難解な印象を受ける方も多いのではないでしょうか。
今回は、地盤調査報告書の見方を紹介します。読む際のポイントも一緒に解説するため、ぜひ最後までご覧ください。
地盤調査の基礎知識
地盤調査とは、その名のとおり地盤の強度をチェックするための調査のことです。たとえ建物が丈夫でも、地盤の強度が不十分であれば、建物は倒壊してしまいます。そのため、地盤調査を実施し、建物を建てて問題のない土地か調べなければなりません。
地盤調査のやり方には、スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)やボーリング調査などいくつか種類があり、建築予定の建物や土地の特性、規模によって適したものが選択されます。
費用相場や期間は、地盤調査の方法によって異なります。たとえば、一般的な戸建住宅を建てる際に使用されるスクリューウエイト貫入試験であれば、費用相場は5万円、期間は半日ほどで、多少時間を長く取った場合でも1日程度で完了します。
建築基準法の改正
地盤調査は、2000年に改正された建築基準法で実施が義務づけられています。建築基準法が改正されるきっかけとなったのが、1995年に発生した阪神淡路大震災です。
阪神淡路大震災では液状化によって多くの建物が倒壊していますが、液状化は地盤調査と調査結果にともない実施される地盤改良によって防げます。そのため、建築基準法の見直しの際、地盤調査も義務づけられることになりました。
地盤調査の未実施による罰則はありませんが、着工許可が出ない・工事停止命令が入る・瑕疵担保保険に加入できないなど、さまざまなデメリットを背負うことになり、事実上義務化されています。安全のためにも必ず地盤調査を行いましょう。
地盤調査報告書の見方
地盤調査が終わると、地盤調査報告書が作成され、建築会社や土地の購入者に共有されます。地盤調査報告書にはさまざまな項目があり、正しく読み解くには、それぞれの項目と数値の意味を把握しておかなければなりません。
とくに地盤調査報告書を読んだ経験がない場合、これらの内容が難解であると感じる方も多いでしょう。ここでは、そのなかでもわかりにくい項目である、貫入状態と自沈層について解説します。
貫入状態とは
貫入とは、地盤調査の際に調査ポイントにスクリューポイントを差し込むことです。通常の住宅を建てる際に実施するスクリューウエイト貫入試験の場合、土地の四隅と中央など、一般的に5つのポイントで調査を行います。
地盤調査報告書における貫入状態は、音や感触で表現されるのが一般的です。たとえば、ゆっくり自沈する場合はユックリ、人力で打撃を加えてはじめて貫入した場合は打撃、打撃を加えても貫入しない場合は貫入不可と記載します。
自沈層とは
自沈層とは、建物が沈みやすい軟弱な地盤のことです。
SWS試験の報告書で自沈層の有無を確認するときは、荷重の項目で規定の数値をチェックしましょう。規定の数値を下回っていた場合、自沈層がある可能性が高いです。
地盤調査報告書を見るときのポイントは?
地盤調査報告書で大切なのは、地盤沈下をはじめ、さまざまな災害のリスクが高いのか、または低いのか見極めることです。良質な地盤か見極めるポイントはいくつかありますが、地盤調査報告書を読み慣れていない人でもチェックしやすいのは、やはり土地の地形区分でしょう。
地形区分とは、地形を形態や成り立ち、性質などから分類したものです。一般的には、谷底低地や旧河道、後背湿地、埋め立て地などはリスクが高いとされています。また、傾斜のある地域かつ盛土地である場合も危険です。
地盤調査報告書では、必ずn値または換算n値も確認しましょう。n値とは、ボーリング試験において地中30cmまで沈むまでにかかるロッド打撃回数のことであり、n値が高いほど土に締まりがあって、重い建物に耐えられる地盤だとされています。
一方、換算n値はスクリューウエイト貫入試験の結果と換算式によって求められる数値で、n値を推定したものを指します。n値と同等に扱われており、一般的な戸建建築では主にこちらが広く用いられています。
一般的な戸建住宅の場合、粘性土の土地に建築する計画なのであれば、n値が5以上 あれば建築可能と判断されるケースがほとんどです。ただし、新しい盛土や腐植土などの特殊な土では、n値が大きくても地盤改良工事が必要な場合もあります。
こちらの記事では、スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)の調査方法やメリットについて解説しています。ぜひお役立てください。
まとめ
地盤調査報告書の見方や、地盤調査報告書を見る際のポイントについて取り上げました。地盤調査報告書は、これから建物をつくるにあたって、その土地に問題がないか知るための資料です。
住宅メーカーや不動産会社の担当者から話を聞くだけでなく、今回紹介したポイントをもとに、自分でも必要な情報を読み取れるようにしましょう。
ワールドシェアセリングでは、独自の地盤ビッグデータをもとに、正確な地盤調査の実施、および地盤調査報告書の作成を行っています。地盤調査をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。