建設現場や屋外施設、イベント会場などに設置してある仮設トイレに対して、あまりよくない印象を持っている方も多いでしょう。仮設トイレは「汚い」「臭い」「使いにくい」などマイナスなイメージを抱かれることが多いです。
しかし、仮設トイレでありながら男女ともに快適に使える「快適トイレ」というトイレ施設があります。快適トイレには、備えることが必須の機能や付属品が定められています。
快適トイレとは
快適トイレとは何か、導入されることになった背景について見ていきましょう。必ず備える機能や付属品、推奨されている仕様など、具体的な機能も解説します。
2016年10月から入札手続きを始めた、国が実施する公共事業の建設現場に設ける仮設トイレは、快適トイレの導入が原則であると国土交通省が発表しています。
快適トイレとはその名の通り、男女ともに快適に使用できる仮設トイレのことです。
建設業界は男性がメインだったことから、近年は女性の就業者を増やす取り組みが行われています。快適トイレは、女性の定着支援の取り組みのひとつです。また、快適トイレによって環境を整えることは、若手の人材確保や育成にも効果が期待できます。
国土交通省が発注する建設現場で快適トイレを設置すると、国からの補助金が給付されます。さらに、自治体でも補助金の制度を導入しているところがあります。
必ず備える機能
以下の6つの機能は必須とされています。
・洋式便座
・し尿処理装置、もしくは簡易水洗を含めた水洗機能
・臭い逆流防止機能
・簡単に開かない施錠機能
・電源なしの場合でも使える照明設備
・衣類などを掛けるフック、もしくは荷物置き場設備(耐荷重5kg以上)
衛生面やセキュリティー面、利便性などの面からみて、快適なトイレの実現にどれも欠かせない機能です。
トイレの臭気を気にせずに利用するために必要な臭い逆流防止機能ですが、たとえば簡易水洗であればフラッパー機能などを備えることが求められます。 また、施錠しても外から簡単に開けられるようでは利用する際に不安なため、二重ロックなどでしっかり施錠することも必要です。安全帯やヘルメットなどを持ち込むときには、フックや荷物置き場が重宝するでしょう。
必ず備える内装・付属品
以下の5つも必須項目です。
・男女別の分かりやすい表示(現場に男女がいる場合)
・入口の目隠しの設置、入口が目立たないような配置の工夫(男女別トイレ間も含める)
・サニタリーボックス(女性用トイレのみ)
・鏡付きの洗面台
・便座除菌シートなどの衛生用品
トイレに入るのを見られることに抵抗がある方も安心して利用できるように、入口にパーテーションなどの目隠しを設置するなどの配慮が必要です。
現場の環境を快適にするためには、鏡付きの洗面台を設置して手の衛生を保ち、身だしなみを整えることも求められます。便座除菌シートやクリーナーなどは衛生的な場所に設置しましょう。
推奨する仕様・付属品
こちらの項目は必須ではありませんが、あればより快適になるとされています。
・室内の寸法が900mm×900mm(半畳程度)以上[1]
・擬音装置
・着替え台
・フラッパー機能の多重化
・窓など室内温度を調整する設備
・小物置き場など(トイレットペーパー予備置き場)
体格のよい方でも使いやすい広さを確保するのが望ましいです。店舗や施設のトイレでは備えられていることが多い擬音装置は、あると快適に使えるうえ、節水効果も期待できます。
仕事中に着替える必要がある場合、トイレに着替え台があると便利でしょう。とくに夏場はトイレ内が高温になりやすいため、窓や空調設備などがあるとより快適です。
快適トイレ認定とは
特定非営利活動法人日本トイレ研究所が、快適トイレの普及を促すとともに仮設トイレの改善を目的として、快適トイレ認定を行っています。前項で解説した、国土交通省が定める快適トイレの機能や付属品の有無によって星1つ(★)もしくは星2つ(★★)で区分されます。
申請に必要な書類の提出や費用の振込をすると、認定に向けた審査が進められます。認定後は、快適トイレ認定ステッカーが発行され、日本トイレ研究所のサイト内にある「快適トイレ認定リスト」に掲載されます。
快適トイレ認定リストには、さまざまな会社の快適トイレが写真付きで掲載されています。快適トイレに認定されると、国が定める基準を満たしていることを示せるのです。
次の記事で具体的なメリットについて解説していきます。