危険物になるアルコール製剤とは?取り扱い方と保管方法を解説

危険物になるアルコール製剤とは?取り扱い方と保管方法を解説

アルコール製剤は、私たちの生活において欠かせないアイテムですが、その取り扱いには細心の注意が必要です。

本記事では、消毒用アルコールの安全な取り扱い方と適正な保管方法、消防法による規制と表示義務について解説します。

アルコール製剤とは

アルコール製剤は手指や食品、機材を殺菌し、衛生を保つために使用される薬品です。
以下では、食品関連業におけるアルコール製剤の効果的な使用方法をお伝えします。

一般的に使用されるアルコール製剤

アルコール製剤は、エタノールに殺菌効果を高めるための有機酸などをくわえて製造されます。
エタノール濃度は70%が理想的とされますが、製剤の特性によっては70%以下の濃度でも殺菌することができます。

なお、エタノールは、医療器具の消毒や皮膚の清浄といった医薬品用途で用いられるのとは別に、手指の消毒や食品の衛生管理といった幅広い分野で利用されています。

食品添加物としての用途

食品添加物としてのアルコール製剤は、食品や食品加工用の機材・調理器具の洗浄に活用されます。

アルコール製剤の成分は、食品安全規格をクリアしているため、人体に悪影響をおよぼす心配はありません。

食品に添加する主な目的は、保存期間の延長であり、機材や調理器具の洗浄に使用する場合は、衛生的な環境を維持し、食品の安全を守る役割を果たします。

用途①食品への使用

食品へのアルコール製剤の適用は食品の保存期間を延ばし、品質を保つ方法として効果的です。
アルコール製剤を噴霧、あるいは漬け込むことで、食品中の菌の繁殖を抑えます。

用途②機材・調理器具への使用

食品加工機材や調理器具を清潔に保つにあたって、アルコール製剤の使用が有効です。

これらの器具には、スプレーやエアゾールで直接アルコール製剤を噴霧するか、アルコールを含ませた不織布で拭き取る方法が一般的です。

指定医薬部外品としての用途

指定医薬部外品としてのアルコール製剤は、高濃度のエタノールを含むため、手指消毒に使用すると強力な殺菌効果を発揮します。

この強力な殺菌力は、たんぱく質の変性作用によるものですが、高頻度で使用していると、手の皮膚を荒れさせる可能性があります。

アルコール製剤の取り扱いについて

アルコール製剤を取り扱う際、次の3つのポイントを押さえておく必要があります。

【アルコール製剤を取り扱う際に注意すべきポイント】

  • 火気を避ける
  • 換気する
  • 高温を避ける

以下では、それぞれのポイントを具体的に解説します。

①火気を避ける

アルコールは蒸発しやすく、可燃性の蒸気を発生させるため、取り扱う際は、付近での火気の使用は避けてください。

ガスコンロなどの火を使用する調理器具の利用はもちろん、喫煙する際も一定の距離を取り、安全を確保することが肝要です。

②換気する

アルコール製剤の詰替え作業は、換気している環境下で行ってください。
蒸発したアルコールは空気より重く、換気が不十分だと低所に滞留し、引火のリスクを高めます。

③高温を避ける

アルコール製剤を保管する際は、直射日光が当たる場所や高温になりやすい場所を避けてください。
高温になるとアルコールが熱せられ、可燃性の蒸気が発生します。

アルコール製剤を取り扱う際は、上記の3つのポイントを必ず押さえておくようにしてください。また、日常的に使用する際も、これらの基本を念頭に置き、安全第一を心がけましょう。

危険物に該当するアルコールを貯蔵・取り扱う際の規制

消毒に用いられるアルコールは、消防法では「第四類・アルコール類」に指定され、取り扱う量によっては届出や許可の申請が求められます。

80L未満なら手続きは不要です。80L以上400L未満では届出が必要になり、400L以上になると許可の申請をしなければなりません。

また、特定の規模を超える販売店舗や飲食店では、消防署長の承認を得るために申請が必要となることもあります。

危険物に該当するアルコール製剤の正しい取り扱い方と注意点

エタノール濃度が60%以上のアルコール製剤は、消防法に基づき、危険物として扱われます。

そのため、アルコール製剤を安全に保管・使用するためには、適切な取り扱い方法と注意事項を理解したうえで、ルールの遵守が欠かせません。

以下では、アルコール製剤を危険物に該当するものと、しないものに分類し、それぞれの保管方法をお伝えします。

関連記事:消防法とは?基本内容と罰則についてわかりやすく紹介

危険物に該当するアルコールの保管方法

エタノール濃度が60%以上のアルコール製剤は危険物に指定され、保管量に応じて消防法上の手続きが必要です。

80L以上400L未満を保管する際は、少量危険物設置の届け出が求められます。
400L以上を常時保管するなら、危険物貯蔵所の設置許可が必須です。
80L以上を保管あるいは取り扱う場合、管轄の消防署長への届出が義務付けられています。

危険物に該当しないアルコールの保管方法

エタノール濃度が60%未満のアルコール製剤は危険物に該当せず、消防法の特別な規制が適用されないため、80L以上を保管するとしても、届出や許可申請の必要がありません。

しかし、安全上の理由からこれらの製品を保管する際には、いくつかの基本的なガイドラインに従うことが推奨されています。

主なガイドラインとしては、直射日光の当たる場所や、高温になる可能性のある場所から遠ざけて保存し、子供の手の届かない安全な場所に保管することが挙げられます。

これらのガイドラインを遵守することで、アルコール製剤の品質を維持し、誤って食べたり飲んだりといった不慮の事故が発生するリスクを最小限に抑えることができます。

関連記事:指定可燃物とは?種類と保管の注意点を解説!

危険物になるアルコール製剤の取り扱いと内容表示

消防法によると、消毒用アルコールは「第四類・アルコール類」として危険物に指定されており、容器には特定の情報を表示することが義務付けられています。

表示すべき要件は以下の通りです。

【容器に表示すべき情報】

  • 製品の名称
  • 危険等級
  • 化学的名称(エタノール)
  • 水溶性の有無
  • エタノールの含有量
  • 火気厳禁の表記

なお、500mL以下の小容量の場合、表示要件が軽減され、代わりに一般名や同義語が使用できます。
この規定の主な目的は、使用者が安全に製品を扱えるようにし、火災や健康被害のリスクを減少させることです。

そのため、消毒用アルコールを扱う際は、容器に記載された情報をよく読み、指示に従って安全に使用することが求められます。

危険物に該当するアルコール製剤は、ガイドラインに従って取り扱う

今回は、危険物に該当するアルコール製剤の取り扱い上の注意点と保管方法を紹介しました。

アルコール製剤を取り扱う際には、安全性の確保を最優先にする必要があります。近くでの火気の使用を避けつつ、十分に換気を行い、直射日光や高温になりやすい場所を避けて保管することが重要です。

さらに、エタノール濃度が60%以上の製品は、消防法上、危険物として扱われ、危険物保管庫に入れるなど、適切な保管と使用が求められます。

また、使用する際は、記載された内容表示を確認し、安全な取り扱いを心がけてください。たとえエタノール濃度が60%未満だったとしても、ガイドラインに従いましょう。

アルコール製剤の保管についてご不明な点がある際はぜひワールドシェアセリングにご相談ください。危険物保管庫の手続きから設置までを、弊社が一貫して対応いたします。

危険物保管庫少量危険物保管庫・貯蔵ならワールドシェアセリングへ

コラムカテゴリの最新記事