危険物保管庫の設置基準とは?重要性や関連法、確実に守るコツも解説

危険物保管庫の設置基準とは?重要性や関連法、確実に守るコツも解説

危険物保管庫を設置する際は、消防法をはじめ各種法令に基づき、構造や設備、設置場所などについて定められた基準を満たす必要があります。
基準に違反すると、火災事故のリスクが高まるだけでなく、罰金などの法的処分や業務停止の対象となる可能性も否定できません。

本記事では、危険物保管庫を取り扱うワールドシェアセリングが、危険物保管庫の設置に関わる7つの基準をわかりやすく解説します。
また、設置基準を遵守する重要性や関連法、確実に満たすための方法も紹介します。

法令を守りつつ、効率的に設置したい現場の管理職の方は、ぜひ最後までご覧ください。

危険物保管庫の設置基準を遵守する重要性

まずは、危険物保管庫の設置基準を満たす重要性について確認しましょう。

火災や爆発事故のリスクを抑える

危険物は引火性や可燃性が高く、設置方法を誤ると火災や爆発などの重大事故を引き起こします。
そのため、危険物保管庫の設置基準では、耐火性能を備えた構造や火気との十分な離隔距離の確保について細かく定められています。

各基準を遵守すると、引火源が発生した場合でも、火の拡大を抑えることが可能です。
また、危険物の蒸気が庫内に滞留することを防ぎ、内部圧力の上昇や異常反応を防止する役割も果たします。

つまり、危険物保管庫の設置基準は、人命や設備、事業活動を守るための安全対策として重要なルールといえます。

従業員の安全を守る

危険物による事故は、働く従業員の生命や健康を脅かすリスクもあります。
特に、引火や爆発、有害蒸気の漏えいは、現場で作業する従業員に深刻な被害をもたらしかねません。

危険物保管庫の設置基準に基づき、適切な換気設備の設置や標識表示を行うことで、事故発生を未然に防ぐ環境が構築できます。

安全な保管環境を整備することは、従業員が安心して働ける職場環境を提供するための企業の責務ともいえます。
したがって、危険物保管庫の設置基準の遵守は、労働安全衛生の観点からも欠かせない取り組みです。

事業継続性(BCP)を高める

危険物保管庫で事故が発生した場合、影響は設備や人身への被害にとどまりません。
操業停止による取引先・顧客からの信用失墜や、多額の損害賠償請求に発展し、事業の継続が困難になるリスクもあります。

そのため、危険物保管庫における設置基準の遵守は、このような経営リスクを防ぐための対策であり、事業継続計画(BCP)の観点からも欠かせません。
事故発生の可能性を低減すると、非常時においても事業への影響を抑えられ、安定した事業運営を維持できます。

つまり、設置基準の遵守は、企業の信頼と事業を守るための投資ともいえます。

危険物保管庫の7つの設置基準

以下では特に重要な7つのポイントに絞り、危険物保管庫の設置基準を解説します。

位置や距離の基準

危険物保管庫を設置する際、火災や爆発事故に備え、周囲の建物や道路から一定の距離を取る必要があります。

距離に関する主な基準には、以下の保安距離と保有空地の2つがあります。

項目概要基準
保安距離保管庫と、住宅や学校、病院などの保護対象物との間に設けるべき距離・一般住宅:10m以上
・学校や病院:30m以上
・重要文化財:50m以上
保有空地保管庫の周囲に設ける、何も置かない空き地・指定数量の倍数が5を超え10以下の屋内貯蔵所:2メートル以上
・指定数量の倍数が20を超え50以下の屋内貯蔵所:3メートル以上
・指定数量の倍数が200を超える屋内貯蔵所:10メートル以上
※壁や柱、床が耐火構造

参照:保安距離の基準について保有空地の基準について|総務省消防庁

それぞれは、周辺環境や住民への被害拡大を防ぐために定められている設置基準です。

設計段階で所轄消防署と協議し、計画内容が基準に適合しているかを確認しましょう。

規模の基準

危険物保管庫では、火災発生時の延焼拡大を防ぐために、施設の規模について制限が設けられています。

規模に関する主な基準は、軒高と床面積の2つです。

項目基準
軒高原則として6m以上
床面積原則として1,000㎡を超えない

参照:保有空地の基準について|総務省消防庁、危険物の規制に関する政令|e-Gov

特に床面積の制限は、危険物の保管量が一か所に集中することを防ぐうえで重要な基準です。
大容量の保管が必要な場合は、保管庫を大型化するのではなく、複数棟に分けて配置するなど、リスク分散が可能な設計を採用する必要があります。

構造の基準

危険物保管庫では、火災や爆発が発生した場合でも被害を最小限に抑えることを目的として、建物の構造に厳格な基準が設けられています。

基本的な構造要件は、以下のとおりです。

対象基準
壁・柱・床耐火構造
不燃材料
屋根金属板など軽量な不燃材料で製造・仕上げ
天井設置しない
窓・出入口防火設備および自動閉鎖の特定防火設備の設置
・危険物が浸透しない構造・漏えい時に外部へ流出しないための傾斜または貯留設備の設置

参照:危険物の規制に関する政令|e-Gov

構造基準は、危険物の類別や貯蔵形態によって一部要件が異なります。
そのため、取り扱う危険物の種類や数量に応じて、適用される基準を確認しましょう。

設備の基準

危険物保管庫では、火災の予防や初期消火、安全な作業環境の確保を目的に、さまざまな設備の設置が義務付けられています。

設置が求められる主な設備は、以下のとおりです。

  • 消火設備:消火栓やスプリンクラー、水蒸気消火設備、消火器
  • 避雷設備:避雷針やアース
  • 採光・照明設備:網入りガラス
  • 換気設備(引火点が70度未満の危険物)
  • 通風装置・冷房装置(危険物第5類の一部)

参照:危険物の規制に関する政令|e-Gov

取り扱う危険物の類別に応じて適切な設備を選定し、設計段階から基準を満たすことで、安全運用が実現できます。

危険物保管庫の温度管理について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

危険物保管庫で温度管理が必要な理由や管理方法について解説

土地の基準

危険物保管庫を建設する土地は、都市計画法で定められた用途地域への適合が前提条件です。
危険物は火災や爆発のリスクを伴うため、住環境への影響が大きい地域では原則として設置が認められていません。

そのため、以下のように、危険物保管庫は用途地域ごとに設置可否が異なる点に注意が必要です。

設置OK条件付きで設置OK設置NG
工業地域
工業専用地域
準工業地域
第2種住居地域
準住居地域
近隣商業地域や商業地域
第1種・第2種低層住居専用地域
第1種住居専用地域
第1種住居地域田園住居

特に工業地域・工業専用地域は、工場や倉庫などの立地を想定した用途地域です。
そのため、危険物保管庫の設置に必要な保安距離や保有空地を容易に確保できます。

一方、準工業地域は自治体ごとに条例や運用が異なるため、規模や危険物の種類によっては設置が制限されるケースもあります。
確実に設置するためには、土地を選定する段階から、自治体の都市計画課や所轄消防署に用途地域を確認し、設置可否を把握することが大切です。

用途地域の具体的な種類については、以下をご覧ください。

危険物倉庫を設置する際に確認すべき用途地域とは

保管量・指定数量の基準

危険物は、一定以上の量を保管すると貯蔵所として扱われ、設置や設備に関する規制が適用されます。

その判断基準となるのが、指定数量です。
保管する危険物の指定数量の倍数が大きくなるほど、求められる構造や設備の基準は厳しさを増します。

また、同じ施設内に異なる種類の危険物を保管する混載にも要注意です。
混載は類ごとに厳しい制限が設けられており、危険物の組み合わせ次第では、合算した指定数量で判断されるケースもあります。

そのため保管庫を設置する際は、自社が取り扱う危険物の保管量と指定数量を把握したうえで、それに応じた設置基準を満たすことが不可欠です。

指定数量の計算方法や考え方については、以下をご覧ください。

危険物指定数量とは?覚え方や届け出について解説

標識・掲示物の基準

危険物保管庫では、周囲の人や作業者、消防関係者が危険物を取り扱う施設であることを一目で認識できるよう、標識や掲示物を設置する必要があります。

標識と掲示物に求められている基準は、以下のとおりです。

種類基準
標識危険物給油取扱所など製造所である旨を表示し、見やすい場所に設置
掲示板防火に関して必要な事項(危険物の類別や品名、指定数量の倍数など)を記載

参照:危険物の規制に関する政令|e-Gov

それぞれは文字のサイズや色、記載内容が細かく定められており、自己判断で簡略化することはできません。

各掲示基準を正しく理解し、法令に適合した内容で掲示することで、安全な危険物管理につながります。

危険物保管庫の設置基準を定める法令

危険物保管庫の設置基準は、単一の法律ではなく、複数の法令により定められています。
以下では、主要な法令とその役割を紹介します。

消防法

消防法は、危険物保管庫の設置においてもっとも中心となる法律です。
火災や爆発などの災害を防ぐために、保管庫の耐火構造や消火設備の設置、保安距離や保有空地の確保など幅広く定めています。

そのため、設置計画の段階から消防法を正しく理解しておくと、法令違反や手戻りを防げます。

危険物の規制に関する政令

危険物の規制に関する政令は、消防法の内容をより具体化し、現場での運用や設計に必要な技術的・数値的な基準を定めた法令です。
例えば、保安距離の具体的な数値や消火設備の詳細な要件、危険物の指定数量が定められています。

消防法が基本的な考え方や枠組みを示すのに対し、本政令では実務で判断するための細かなルールを規定している点が違いです。

危険物の規制に関する規則

危険物の規制に関する規則は、政令をさらに細かく具体化した総務省の消防庁が定める省令です。
構造や設備に関する技術基準だけでなく、申請書の様式や記載事項、手続きの進め方など、実務的なルールを定めている点が特徴です。

自治体の消防本部は、本省令に沿って設置許可申請や完成検査の審査を行うため、申請書類の作成前に確認しておきましょう。

自治体の火災予防条例

自治体の火災予防条例は、消防法や政令・規則で定められた全国共通の基準に加え、各市町村が地域実情に応じて独自に定めたルールです。
特に、指定数量未満の少量危険物の保管・取扱いについては、本条例で基準が定められています。

同じ危険物保管庫でも、自治体により求められる対応や手続きが異なるため、複数拠点で保管庫を運用する場合は特に注意が必要です。

建築基準法

建築基準法は、保管庫を建築物として捉え、安全性に関する基準を定めた法律です。
具体的には、建物の耐火性能や構造、防火区画の設置、非常時の避難経路の確保など、人命保護を目的とした基本的な安全基準が定められています。

耐火建築物として大規模な保管庫を建設する場合は、建築基準法の耐火構造・防火区画の規定も押さえる必要があります。

危険物保管庫を設置する際の流れ

危険物保管庫の設置は、工事だけでなく行政への事前相談や許可申請、完成検査を含めた一連の手続きを踏む必要があります。

行政への申請手続きを含めた一般的な流れは、以下のとおりです。

手順実施内容
1.所轄消防署との事前協議設置可否の確認や法令適合性の事前判断、指導内容の確認
2.設置許可申請書類の作成・提出設計図や配置図、安全対策内容の整理、申請書類の提出
3.設置許可証の受領自治体・消防本部からの正式な設置許可の取得
4.工事着工設置許可を取得後に工事開始
5.完成検査の申請・実施現地で構造や設備・配置の最終チェック
6.完成検査済証の受領・使用開始検査合格後に危険物保管庫の使用開始

流れを理解して進めることで、再協議や設計修正などの手戻りを防ぎ、スムーズに導入できます。

危険物保管庫の設置基準を確実に満たすコツ

危険物保管庫の複雑な基準を抜け漏れなくクリアし、スムーズに設置を進めるためには、いくつかコツがあります。
以下では、設置基準を確実に満たすためのコツを紹介します。

既製品の保管庫を活用

危険物保管庫の設置基準を確実に満たすには、メーカーが各法令の基準に基づいて設計した既製品保管庫を活用する方法が有効です。
法令要件を満たす構造や設備が標準仕様として組み込まれているため、基準不適合のリスクを抑えた導入が可能です。

特に、地方自治体への豊富な納入実績を持つメーカーの製品は、消防署との事前協議や完成検査もスムーズに進みます。

そのため、行政との再協議や基準確認、仕様修正にかかる手間を削減できます。

設置許可申請サービスを利用

危険物保管庫を扱うメーカーや行政書士のなかには、複雑な設置許可申請の代行やサポートを提供している場合があります。

例えば、ワールドシェアセリングでは、所轄消防との事前協議から申請書類の作成、設置完了までを一貫してサポートしています。

書類作成や行政対応を専門家に任せると、社内担当者の負担を軽減できるだけでなく、申請漏れや記載ミスによる手戻りの防止も可能です。
結果として、設置基準を満たした危険物保管庫が確実に導入でき、運用開始までの時間を短縮できます。

設置場所を基準に合いやすい場所から検討

危険物保管庫の設置では、場所選定を後回しにした結果、設置基準に適合せず計画をやり直すケースが少なくありません。
特に、保安距離や保有空地を確保できず、再検討や追加工事が発生するのは、よくあるトラブルのひとつです。

このようなトラブルを防ぐためには、計画の最上流工程である土地選びの段階から設置基準を意識することが重要です。

保安距離や保有空地を確保しやすく、都市計画法上の用途地域にも適合した土地を選定すると、申請がスムーズに進みます。

結果として、設計の自由度が高まり、追加コストや計画変更を防ぎながら、確実に設置基準を満たせます。

まとめ:危険物保管庫の設置基準を満たして法令違反リスクを回避しよう

危険物保管庫の設置には、消防法をはじめとする各種法令に基づき、位置・構造・設備・申請手続きなど、守るべき基準が数多く定められています。
各基準を十分に理解しないまま進めると、火災や従業員の労災、法令違反につながりかねません。

そのため、設置計画の初期段階から基準を正しく把握し、土地選びから設計、施工まで計画的に進めることが重要です。
特に、危険物保管庫の設置基準や設置許可申請について疑問がある場合は、早い段階から実績豊富な専門業者に相談することをおすすめします。

危険物保管庫の設置に関するご相談は、ワールドシェアセリングまでお気軽にご相談ください。

元消防職員が設置基準や設置に必要な申請手続きに関して、専門的な視点からわかりやすくお答えします。

危険物保管庫の設置事例

  • デノラ・ペルメレック株式会社様
    デノラ・ペルメレック
  • TPRエンプラ様
    TPRエンプラ
  • 三森特殊印刷社様
    三森特殊印刷社
  • 海上保安庁(第二管区)様
    海上保安庁
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