危険物保管庫の届出や立入検査の知識についてご紹介

危険物保管庫の届出や立入検査の知識についてご紹介

危険物を貯蔵するために必要な危険物保管庫ですが、危険物保管庫を導入する前に知っておくとよいことがいくつかあります。

たとえば、危険物を取り扱っている施設は、消防署による立入検査を受けることがあります。立入検査ではどのような項目がチェックされるのか、指摘事項とは何か、法令違反をした場合はどうなるのかなど、不安に感じることもあるのではないでしょうか。

今回は、危険物保管庫の導入にあたり、事前に知っておいた方がよい立入検査や届け出の知識を紹介します。

危険物の取り扱いで法令に違反した場合どうなる?

危険物の取り扱い方法は、消防法などの法令で定められています。法令に違反した場合は、義務違反にあたるとして措置命令を受ける可能性があります。

義務違反には、危険物の貯蔵または取り扱いにおいて技術上の基準に違反している場合や建物の点検結果を報告しない、もしくは虚偽の報告をした、無許可で指定数量以上の危険物を取り扱っている場合などがあります。

指定数量とは、許可が必要となる危険物の量の基準です。指定数量は危険物の品目ごとに定められていて、危険性が高い物質ほど指定数量は少なくなります。

もし義務違反の指摘に対して、危険物の管理者や建物の所有者が改善の意思を見せない場合は、行政指導 へ進みます。

行政指導では、行政機関が指導や勧告、警告などを行います。法的な強制力はありませんが、警告書に記載された期限までに改善が見られない場合 は、市町村長などによる措置命令が発出されます。

措置命令が発出された場合、指定された期日までに命令内容へ対処しなければなりません。措置命令を受けても、義務違反の状態が改善されない場合は公示されます。公示とは、義務違反をしている建物などへの違反内容の掲示、公報への掲示などです。

公示をされても是正されない場合は、危険物の取扱に関する許可の取り消し、告発や行政代執行が行われることもあります。

消防署の立入検査とは

消防署の立入検査では、危険物を扱っている建物や設備が消防法令の基準に適合しているか確認します。

立入検査は、事前通告なしで全時間帯に行うことが可能です。建物の規模などによって差はありますが、数時間かかることもあります。

主な確認項目は、消防関連書類、防火管理の体制、避難経路の確保状況、消防用設備などの管理・点検状況などです。

検査結果は、後日届く「立入検査結果通知書」で確認します。通知書 に不備欠陥項目が記載されている場合は、改善計画書の提出が必要です。改善計画書には、いつまでに改善するのかという具体的な期日を記載します。計画書に不備がある場合は指導が入るので、修正して再提出します。

改善計画書に示した期日以降に、改善が実施されたが確認するための立入検査を受けます。ただし、届出書類で改善が確認できるケースは、立入検査は不要です。

点検の種類

不備欠陥の発生を防ぐために大切なのが、日常的な点検です。点検には、大きく分けて機器点検と総合点検があり、立入検査の際も点検の実施状況や年1回の報告が行われているかをチェックしています。

機器点検と総合点検は、それぞれ検査頻度や検査内容が違います。ここでは、それぞれの検査の特徴について解説します。

  • 機器点検
    機器点検は半年に1回行います。消防用機器の設置場所が避難の支障になっていないか、消火器は容易に持ち出して使用できる状態になっているか、設置間隔は適切かなど、簡易的な操作や外観から判断できる部分を点検します。
  • 総合点検
    総合点検は1年間に1回行います。消防用機器を同時に作動した際に正常に動くかどうか、煙感知器の感度が正常か、非常電源に切り替えた状態で正常に動作するかなどを点検します。
    総合点検は機器点検と比べて当然長い時間がかかります。年1回の総合点検の際に、半年に1回必要な機器点検を同時に行うことも多いので「機器・総合点検」とも呼ばれています。

立入検査の指摘事項

立入検査では、数十個ものチェック項目で検査を実施します。検査の結果、どのようなことが指摘されるのでしょうか。ここでは、立入検査の指摘事項を4つの項目に絞って紹介します。

1つ目は、消防関連書類の整備状況 についての指摘です。立入検査では、防火管理者選任届や消防計画書、点検や訓練の記録などが整備されているか確認されます。書類を1カ所にまとめておく必要はありませんが、検査官に求められたらすぐに出す必要があります。これらの書類が正しく管理されていないと判断されると、書類整備について指摘されます。

2つ目は、日常における防火管理の体制についての指摘です。たとえば、定期的に消防訓練を行っているかどうかなどが確認されます。消防訓練を実施する前には、消防署への届け出 が必要です。届け出をしていない場合、消防訓練が未実施だと見なされてしまいます。

3つ目は、避難通路や避難口の確保状況 に対する指摘です。廊下や階段、避難口などの避難施設に障害物がある場合、障害物を撤去するよう指摘されます。繰り返し障害物を避難施設に置いていると、除去命令が発令されることもあります。

4つ目は、消防用設備の維持管理や点検状況 への指摘です。たとえば、有資格者による点検を実施していない、点検結果を報告していないなどが該当します。たとえ点検していても、不良部分を改修していなければ指摘の対象です。

危険物の貯蔵または取り扱いには届け出が必要

危険物の貯蔵や取り扱いには、届け出が必要です。扱う危険物の量によって、届出先や必要な書類が変わります。

  • 指定数量以上の場合
    指定数量以上の危険物を貯蔵する場合、危険物貯蔵所設置許可申請書を自治体に提出 して許可を受けなければなりません。申請書は、審査の期間を考慮して、設置許可を受けようとする日の10日前には提出しましょう。自治体によっては、審査に3週間ほどかかるケースもあります。
    申請の際は、設置場所の案内図や平面図、設置する設備に関する資料などを添付する必要があります。許可が下りたら工事を始めます。タンクの検査が終われば工事完了です。その後、完成申請書を自治体に提出して、完成検査を通れば使用を開始できます。
  • 指定数量未満の場合
    指定数量未満の危険物の取り扱いは消防法ではなく、各市町村の火災防止条例によって定められています。ただし、指定数量の5分の1以上は、消防法で少量危険物 と定められています。そのため、地域の消防本部が定めている基準に従わなければなりません。
    少量危険物の貯蔵庫を設置する場合は、少量危険物貯蔵取扱届出書を所轄の消防署に提出しましょう。提出の際は、平面図や配管図、タンクの仕様書の添付が必要です。また、届け出を提出後、施設の完成検査を受ける必要があります。
    指定数量の5分の1未満であれば、原則的に届出不要です。自治体によっても違うため、所轄の消防署に確認しましょう。

まとめ

この記事では、危険物保管庫の導入に必要な立入検査や届け出に関して解説しました。

立入検査は、事前通告なしで実施されることもあります。そのため、日頃の書類整備や点検が大切です。また、立入検査で受けた指摘は、設定した期日までに改善しなければなりません。改善しないと、行政指導や公示、許可の取り消しなどを受けてしまいます。

危険物管理庫を導入する場合は、専門知識がある業者に頼むと安心です。事前相談や導入後のサポートが充実している業者を選びましょう。

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