危険物保管庫の選び方とは?導入前に確認すべきポイントや注意点

危険物保管庫の選び方とは?導入前に確認すべきポイントや注意点

危険物を取り扱う事業者にとって、安全かつ適切な保管体制を整えることは最優先の課題です。ですが「どの保管庫を選べばよいかわからない」と感じる方もいるでしょう。 

保管庫は単純に大きさや価格で比較するのではなく、保管物の種類や量に関する法律を確認し、それに適したものを選ぶ必要があります。 

このコラムでは、危険物保管庫の選び方や注意点、設置に必要な手続き、どこで購入するべきかなどについてご紹介します。 

危険物保管庫を自由に選べない理由とは?

危険物保管庫は、単に好きなタイプを自由に選べるものではありません。保管する危険物の種類や数量によって、保管庫の構造や面積、必要な設備などが法律によって厳しく定められているためです。 

購入後に自社の条件に適さないものを選んでいた、という事態を避けるためにも注意が必要です。 

たとえば、消防法では指定する以上の危険物を保管する場合、一定の基準を満たした構造・設備の倉庫でなければなりません。危険物保管庫を選定する際は法律に適合しているかを重視しましょう。 

危険物保管庫はどう選べばいい?

危険物保管庫を選ぶ際のポイントは「保管物の種類と数量」「法規制と立地条件」「必要な設備・性能」の3つです。それぞれ解説します。 

関連記事:保管庫を導入するなら知っておくべき立入検査や届け出の知識

保管物の種類と数量を把握する

はじめに確認しておきたいのが、保管する危険物の種類と数量です。 

たとえば、化学薬品や可燃物を保管する場合は、それぞれの特性に適した温度・湿度管理が可能な倉庫を選ぶ必要があります。 

消防法では第1類~第6類まで危険物が分類されており、その分類ごとに保管要件が異なります。また、保管量によっては特別な対応が求められるため、事前の確認が欠かせません。 

法規制と立地条件を確認する

保管庫を設置する場所によって、適用される法規制や条例が異なる場合があります。消防法や危険物安全管理法などの関連法律をよく確認したうえで条件に適したものを導入しなければなりません。 

たとえば、消防設備のほか、消火器の配置、通気システムといったものの導入が求められることもあります。 

立地条件については、地震や洪水といった自然災害のリスクを考慮したうえで選ぶことが重要です。周辺住民への配慮も考慮しなければならず、立地によっては設置自体が難しくなることもあるため、早期の確認が重要です。 

必要な設備・性能で選ぶ

保管庫には、防火構造や換気設備、温度管理などが求められることがあります。これらの設備は、保管する物質の種類や数量、性質に応じて求められます。 

危険物保管庫を取り扱うメーカーによって対応可能な仕様やオプションが異なるため、選定時には具体的な要件を業者に伝え、適切な提案を受けましょう。 

危険物保管庫の仕様は誰が決める?

「自社の方針で仕様を決めたい」と考える方もいるかもしれませんが、これは認められていません。危険物保管庫の構造や仕様は、所轄の消防署および主に消防法関係の法律によって決定されます。 

そのため、設計や購入の前に所轄の消防署へ相談し、必要条件を確認しておくことが大切です。「どこに(どんな環境で)、何を、どれくらいの量」保管するのかを伝え、必要な仕様を把握しておくことが求められます。 

仕様の独自判断によるトラブルを避けるためにも、行政と連携しておくことは欠かせません。 

関連記事:消防法とは?基本内容と罰則についてわかりやすくご紹介

危険物保管庫の設置にはどんな手続きが必要?

危険物保管庫を設置するうえで、どのような手続きが必要になるのでしょうか。ここでは、特に重要なポイントを3つ解説していきます。 

計画段階で消防署に相談する

まずは、所轄の消防署に対して設置予定の場所や保管する危険物の概要を相談しましょう。所轄の消防署はインターネットで検索できます。 

協議内容は議事録にまとめ、保存しておきましょう。危険物保管庫を設置するうえでわからないことなどがあれば、消防署との事前協議の際に確認しておくとよいでしょう。 

図面・届出の提出と審査

危険物を取り扱うために保管庫を設置する際は、設置図面や構造の説明資料などを添えて所定の届出を提出しなければなりません。取り扱う危険物の量によって届出先と準備しなければならない書類が変わります。 

指定数量以上の危険物を保管する場合は、自治体へ危険物貯蔵所設置許可申請書を提出する必要があります。審査には、おおよそ3週間を要する場合もあるでしょう。 

また、指定数量未満の場合は各市町村の火災予防条例によって定められているため、所轄の消防署に確認しましょう。 

承認されなければ工事を進めることはできません。 

検査や使用開始までの流れ

工事完了後には消防署による検査が行われ、問題がなければ使用開始の許可が与えられます。検査で不備が見つかった場合は再提出や対応が必要です。 

危険物保管庫はどこで購入するべきか?

危険物保管庫の選定・設置には、法的な要件や技術的な知識が求められます。そのため、経験豊富で信頼性のある業者を選定することが導入をスムーズに進めるためにも重要です。信頼できる業者であれば、消防署とのやりとりや書類申請のサポートに加え、法令順守や安全性確保についても具体的な助言を受けられます。

安さ・見た目だけでは危険物保管庫を選べない

ここまで、危険物保管庫の選定に必要なポイントについて解説してきました。確認しておきたいポイントや、倉庫を選ぶ前に押さえておくべきことなどをご理解いただけたかと思います。 

危険物保管庫は、安さや見た目だけでは判断できない、法的要件を満たす必要のある専門設備です。保管物の種類や数量に応じて、法規制や立地条件、設備要件など複数の基準をクリアする必要があります。 

だからこそ経験豊富な専門業者と連携する形で適切な保管庫を選定・導入する必要があります。危険物の取り扱いでお困りの方は、ぜひ元消防職員が在籍しているワールドシェアセリングまでご相談ください。 

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