危険物施設の消火設備の設置基準を解説!

危険物施設の消火設備の設置基準を解説!

多種多様な危険物を取り扱う危険物施設で火災が発生すると、大きな二次被害を引き起こす可能性があります。だからこそ、施設内に火事を早期に食い止める消火設備を整えておくことが、極めて重要です。

本記事では、危険物施設における消火設備の種類や、消火設備ごとの役割を解説します。

危険物施設に設置する消火設備の種類についてご紹介

危険物施設での火災は、重大なリスクを伴います。

危険物施設内で発生した火災の二次災害を最小限に抑えるには、消火設備の設置が欠かせません。
ここでは、危険物施設におけるさまざまな消火設備の種類、それぞれの設備がどのような状況で有効なのか、詳しくご紹介します。

消火設備とは?

消火設備は、火災時に速やかに反応することで火災の拡大を防ぎ、人命と財産を保護するための重要な機器やシステムです。

主な種類には、屋内外消火栓、スプリンクラー設備、泡消火設備、水蒸気や水噴霧消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、そして粉末消火設備が含まれます。

消火設備は、扱う危険物の性質や施設の特徴に合わせて、選択・設置する必要があります。

消火設備の種類

火災時の安全を確保し、被害を最小化するために、消火設備は欠かせません。

以下の表は、「危険物の規制に関する政令(危政令)」第20条に基づく、消火設備の第一種から第五種までの分類と、その説明をまとめたものです。

消火設備の種類 設備の説明 
第一種 ・屋内消火栓設備 ・屋外消火栓設備 
第二種 ・スプリンクラー設備 
第三種(水蒸気消火設備又は水噴霧消火設備)・水蒸気消火設備 ・水噴霧消火設備 
第三種((泡消火設備)・泡消火設備 
第三種(不活性ガス消火設備)) ・不活性ガス消火設備 
第三種(ハロゲン化物消火設備)・ハロゲン化物消火設備 
第三種(粉末消火設備)・粉末消火設備 
第四種 ・大型消火器 
第五種 ・小型消火器 ・簡易消火器具(水バケツや乾燥砂など) 

火災対応の成果を向上させるうえでは、消火設備の分類が重要です。消火設備には、第一種から第五種に至るまでの種類が存在し、各々が特定の種類の火災に対応するよう特化されています。

第二種:スプリンクラー設備

スプリンクラー設備は火災発生時に自動で作動し、天井から水を噴霧して火を消すシステムです。
熱を感知するとスプリンクラーヘッドが作動し、消防ポンプ車からの水を利用して即座に火災を抑制または消火します。

第三種:固定式消火設備

第三種の固定式消火設備は、水蒸気、水噴霧、泡、不活性ガス、ハロゲン化物、粉末などの消火設備を指します。火災が発生した際に自動または手動で起動し、さまざまな危険物に対して効果的な消火対策を実施します。

第四種:大型消火器

火災のリスクが高い場所、特に危険物を扱う施設や工場には、第四種消火設備である大型消火器の設置が欠かせません。
これらは、広い範囲の火災に速やかに対応できるように設計されており、大容量の消火剤を搭載しています。

なかでも50型の消火器は、移動をスムーズにするために車輪が装備されています。

水、泡、化学薬品、二酸化炭素を含むさまざまな消火剤を使用することが可能であり、多くの種類の火災に対して効果的に対応できます。

第五種:小型消火器

第五種の消火設備である小型消火器は、手軽さと即時性の側面から初期火災対応に欠かせない設備です。
粉末ABC消火器など、広く利用されるタイプは幅広い火災シーンに対応しており、住宅やオフィス、商業エリアなど、あらゆる場所に設置されています。

危険物に対する消火設備の適応性について

危険物を扱う施設における火災は、重大なリスクを伴います。
そのため、これらの施設には、特定の危険物に対応できる適切な消火設備の設置が求められます。

以下の表は、異なる種類の消火器が、さまざまな危険物に対してどのように適用されるのかを示しています。

火器具の区分建築物その他の工作物電気設備第一類 その他の第一類の危険物第二類 鉄紛、金属紛 若しくはマグネシウム又はこれらのいずれかを含有するもの引火性固体その他の第二類の危険物第三類 禁水性物品その他の第三類の危険物第4類の危険物第5類の危険物第六類の危険物
棒状の水を放射する消火器××××
霧状の水を放射する消火器×× ×
泡を放射する消火器×××
二酸化炭素を放射する消火器××××××××
水バケツ又は水槽××××
乾燥砂××
膨張ひる石又は膨張真珠岩××
消火粉末を放射する消火器 (リン酸塩類等)×××
消火粉末を放射する消火器 (炭酸水素塩類等)×××××××
消火粉末を放射する消火器 (その他のもの)××××××××××
ハロゲン化物を放射する消火器××××××××

危険物施設に設置するべき消火設備とは?

危険物施設では火災発生時に素早い対応が必要なため、適切な消火設備の選定と設置が重要です。

以下で、「危険物施設別 第一種‐第五種消火設備」の設置基準について、詳しく解説します。

危険物施設別 第一種‐第五種消火設備の設置基準

危険物施設における火災リスクの管理には、第一種から第五種にわたる消火設備の適切な選択と設置が必須です。

特に消火作業が困難な施設には、第一種から第三種のいずれかの消火設備とあわせて、第四種および第五種の設備の導入が必要とされます。

さらに、消火が困難とされる場所では第四種と第五種の設備が、その他の一般的な場所では主に第五種の消火設備の設置が求められます。

これにより、万一の火災発生時でも速やかに対応でき、人命と財産を守るための重要な役割となるわけです。

危険物施設に設置する消火設備の詳細

危険物施設における火災のリスクを最小限に抑えるためには、さまざまな消火設備が必要です。
以下では、危険物施設に設置される消火設備について詳しく説明します。

著しく消火困難な製造所等

消火活動が難しい製造所などでは、第一種から第三種の消火設備を少なくとも一つは備え、さらに第四種と第五種の設備を併用しなければなりません。

これにより、火災が発生した状況に合わせて素早く対処し、二次的損害を抑えることが可能になります。危険物の取り扱いがある施設では火災の危険性が増すため、消火設備の適切な選択と設置が必要です。

消火困難な製造所等

火災が発生しやすい製造所や取扱所においては、損害を最小限に抑えるために、第四種および第五種の消火設備が必要になります。

具体的には大規模火災に対応する第四種の大型消火器と、火災の初期段階で役立つ手持ち式の第五種消火器が挙げられます。

これらの消火設備を適切に配備することで施設の安全性が向上し、火災への備えが強化されます。施設の具体的な状況に応じた消火設備の選択と配置は、安全管理のために重要です。

その他の製造所等

その他の製造所等では、火災初期対応に適した第五種の消火設備を中心に設置します。

第五種に分類される小型消火器は、速やかな対応を可能にし、火災リスクが比較的低い環境でも予期せぬ火災への備えとなります。

地下タンク貯蔵所では、2つ以上の第五種消火設備が、移動タンク貯蔵所においては自動車用消火器など、複数の設備の設置が必要です。

これによりすべての製造所で効果的な火災対策が可能となり、安全な作業環境の維持につながります。

危険物施設の消火設備の設置と位置について

火災発生時の速やかな対処に欠かせない消火設備は、建物の安全確保および防護において、設置規準が非常に重要な役割を担っています。

しかし、どの消火設備をどこに設置すべきか、その基準がわからない方も多いかもしれません。以下の表に、第一種から第五種までの消火設備の設置基準をまとめました。

この情報をもとに適切な消火設備の選択と配置を行い、施設の安全性を高めるための手助けとしてください。

消火設備の種類 設置基準 
第一種(屋内消火栓)建築物の階ごとに設け、階の各部分からホース接続口までの水平距離が25m以下 
第一種(屋外消火栓)防護対象物からホース接続口までの水平距離が40m以下 
第二種 防護対象物からヘッドまでの水平距離が1.7m以下 
第三種 放射能力範囲に応じた有効な設置 
第四種 各階に歩行距離30m以内に1本設置(第一種、第二種、第三種と併置する場合除く)
第五種(特定の場所)有効に消火できる位置に設置(地下タンク、簡易タンク、移動タンク貯蔵所、給油取扱所、販売取扱所)
第五種(その他の場合)各階に歩行距離20m以下ごと 

危険物施設の安全対策

危険物を扱う施設においては、火事から人々と財産を守るために、適切な消火設備を選択・配置しなければなりません。

消火設備は第一種から第五種に分類され、各種は特定の火災の種類や施設の特徴に合わせて選ぶ必要があります。

これらの設備を適切に使用することで火災に即座に対応し、大切な人命と財産を救うことができます。そして、あらゆる火災に対して迅速に対応できる環境作りには、専門知識と経験が不可欠です。

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