ガソリンと軽油の違いは?特性や保管方法に着目して紹介

ガソリンと軽油の違いは?特性や保管方法に着目して紹介

ガソリンや軽油は、どちらも自動車の燃料として使用するため、消防法に定められている危険物のなかでは身近な存在であるといえます。

とはいえ、双方の違いを明確に説明できる方は、それほど多くはないのではないでしょうか。

本記事では、ガソリンと軽油の概要を説明したうえで、両者の違いを紹介します。

危険物を取り扱う業務に従事されている方にとっては、基礎的な内容も一部あるかもしれませんが、復習としてお役立てください。

ガソリンとは

ガソリンとは、原油を蒸留・抽出する際に必要となる加熱の工程で、30~220℃程度の沸点になると得られる液体のことです。

無色透明で、常温・常圧の状態で蒸発する性質があり、危険性が非常に高いとされています。

そのため、ガソリンスタンドで販売されているガソリンは、安全面に配慮してオレンジ色に着色されているのが特徴です。

原油から精製されたガソリンは、日本工業規格(JIS)によって、自動車用ガソリンと工業用ガソリン、航空ガソリンの3種類に分類されます。

また、自動車用ガソリンには、レギュラーとハイオクの2種類があり、異常燃焼の起こしづらさを示す“オクタン価”が89以上ならレギュラー、96以上ならハイオクになります。

軽油とは

軽油とは、ガソリンと同様に原油を蒸留・抽出する際に必要な加熱の工程において、200~350℃程度の沸点で留出される液体のことを指します。

軽油は本来無色から薄い黄色をしていますが、エメラルドグリーンに着色されて販売されています。

なお、“軽”とついているのは、重油に比べると比重が軽いという意味であり、軽自動車の燃料になるというわけではありません。

荷重の重いトラックやバスなど、ディーゼルエンジン車の燃料として利用されます。

ディーゼルエンジン車に関しては後述しますので、そちらをご覧ください。

ガソリンと軽油の違い

ここからは、ガソリンと軽油の違いを紹介していきます。

特性と保管方法、危険物としての分類に着目して、相違点を明確にしましょう。

引火点・着火点

ガソリンと軽油の違いとしてまず挙げられるのは、引火点と着火点です。

着火点は、火気を液面に近づけた際に燃焼が始まる最低温度を、着火点は火の元がなくても勝手に燃え始める最低温度を意味します。

ガソリンの引火点は-40℃と非常に低く、常温でも火を近づければすぐに着火してしまいます

一方、軽油の引火点は45℃以上なので、常温では火を近づけても燃え始めることはありません。

ただし、霧状の軽油の場合、常温でも引火する可能性があるためご注意ください。

着火点に関しては、ガソリンが約300℃であるのに対し、軽油は約250℃と、軽油のほうが低温で燃え始めます。

関連記事:指定可燃物とは?種類と保管の注意点を解説

保管方法

ガソリンと軽油では、保管方法も異なります。

ガソリンは非常に揮発性が高く、常温で蒸発する性質があるので、密閉できる金属容器で保管する必要があります。

少量のガソリンを保管、あるいは携帯する場合であっても、金属製で密閉力が高い容器でなければなりません。

長期間にわたって保管する際は、ドラム缶のようにしっかりと密閉できるタイプが推奨されています。

軽油も消防法令に適した金属容器で保管することが推奨されますが、ガソリンほど揮発性が高くないため、30L以下であれば、灯油のようにポリタンク容器で保管することができます。

危険物としての分類

危険物としての分類も、ガソリンと軽油における違いの一つです。

ガソリンと軽油は、消防法に定められている危険物に該当し、どちらも“第四類・引火性液体”に分類されています。

第四類・引火性液体に含まれる7つの品目を、以下にまとめました。

第四類・引火性液体の品目

  • 特殊引火物
  • 第一石油類
  • アルコール類
  • 第二石油類
  • 第三石油類
  • 第四石油類
  • 動植物油類

7つの品目のなかで、ガソリンは第一石油類、軽油は第二石油類に分類され、この違いによって、保管時の決まりが変わります。

たとえば、消防法の適用を受ける基準としての数量である“指定数量”が、ガソリンであれば200L、軽油なら1,000Lと定められています。

この数量を超えて保管や取り扱いを行う場合は、危険物取扱者の資格が必要になるというわけです。

【関連記事】
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危険物の種類一覧!第1類から第6類までの内容を紹介

軽油で走る自動車の例

ガソリンを使用する普通自動車に比べると、軽油で走行する車はイメージがつきづらく「どんな車種があるのだろう」と思われているかもしれません。

前述したように、重量物を運ぶトラック・建設車両や、公共性の高いバスなどのディーゼルエンジン車の多くで軽油が利用されています。

軽油はパワフルな走行ができ、ガソリン車と比較すると燃費が良いとされているからです。

また日本では、税金の差により軽油のほうが安く販売されているのも、トラックやバスで採用されている理由の一つです。

しかし、ディーゼルエンジン車は燃費が良いと同時に、一酸化炭素をはじめとする大気汚染物質の排出が問題となっているのが現状です。

そこで、環境保護を考慮して“クリーンディーゼル車”が開発され、次世代のエコカーとして注目を集めています。

ディーゼルエンジン車と同じく軽油を利用しつつも、環境への配慮がなされたことで、トラック・バスといった大型車両だけでなく、普通自動車も登場しています。

ガソリンと軽油は特性や危険物としての分類が異なるため、適切な保管方法を採用する

本記事では、ガソリンと軽油の概要を説明したうえで、両者の違いを紹介しました。

ガソリンと軽油のどちらも原油から精製されますが、留出される沸点が異なります。

また、ガソリンは常温でもすぐに燃焼するのに対し、軽油は高温になると燃え始める温度がガソリンより低いです。

特性や危険物としての分類が違うので、それぞれ安全な方法で適切に保管しなければなりません。

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