危険物の適切な管理は、周囲の人々や建物、その周辺にある財産を保護するうえで欠かせません。
この記事では、危険物の基礎やそれらの分類とともに、同時に貯蔵する際の注意点について詳しく解説します。
危険物の基本
危険物は日常生活の至るところに存在するので、日々の生活の安全を守るためにも、正しい知識をもって取り扱わなくてはなりません。
危険物とは、そのままの状態で放置することにより引火や爆発、中毒などを引き起こす可能性のある物質のことを指します。
普段見かけることの多いガソリンや灯油、アルコールなども、実は危険物に含まれるのです。危険物のなかでも、特に燃焼を促進させる性質をもつものや、引火性が高いものは注意が必要です。
なお、現状消防法にて上記に分類される危険物は、すべて固体か液体となっています。
これらはさらに、第1類から第6類までの6つに細分化されており、類ごとに特有の危険性を有しています。この分類は、危険物を保管する、または取り扱う際に、その相互作用を考慮するうえで非常に重要です。
原則として、異なる類の危険物を、同一の貯蔵所や室内に貯蔵することは避けなければなりません。
なぜなら、一緒に保管した場合、予期せぬ化学反応が発生し、重大な事故が起きる危険性が増してしまうからです。
しかし、適切な知識と対策方法さえ把握していれば、こうしたリスクを大幅に低減することができます。
そのためには危険物の分類とそれぞれの性質を理解し、適切な保管方法を適用することが重要です。
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危険物の分類
危険物は、それぞれがもつ特有の危険性を理解したうえで、適切に管理する必要があります。
火災や爆発が発生するリスクを抑えるために、消防法では危険物を6つの類に分けています。「酸化性固体」や「可燃性固体」などが類として存在し、それぞれ異なる危険性を有しているのが特徴です。
これらに分類される物質を扱う際は、指定量以上の場合は消防法に基づく貯蔵所での管理が義務付けられ、自治体によっては独自の規制が適用されるケースもあります。
規制の内容を理解し遵守することにより、危険物が原因となる事故の発生リスクを低減できるわけです。
危険物の同時貯蔵
危険物の同時貯蔵は、安全な管理を実施するうえでの重要な課題の一つです。
異なる類の危険物を同じ場所に貯蔵する際は、各物質の性質や発生しうる反応の内容について熟知し、適切な間隔を保持するなど厳しい規制と基準に従う必要があります。
以下では、異なる類の危険物を同時貯蔵する方法と、同時貯蔵が許可される施設の条件について解説します。
同時貯蔵できる危険物の組み合わせとは?
原則として危険物の同時貯蔵はできないと定められていますが、特定の条件下では例外的に許可される場合があります。
たとえば、第1類の危険物の一部は第5類や第6類のものと、第2類の危険物は自然発火性物質(黄りんとその含有物のみ)とともに貯蔵することが可能です。
ただし、上記のケースはあくまでも消防法でのみ定められた内容です。自治体が独自の条例を定めている場合は、そちらも考慮しなくてはなりません。
容器を積み重ねてもよい高さなどの詳細なルールを遵守することが、危険物の安全な管理、そして事故の発生防止につながります。
正しい知識を身につけ適切な方法で危険物を扱い、職場や公共の場の安全を守るように努めましょう。
危険物以外の物品と危険物を同時貯蔵する場合
通常、危険物は非危険物から離したうえで、類ごとに保管することが求められます。
危険物同士で反応が発生したり、非危険物と接触したりすると、発火やその後の延焼を引き起こす可能性があるためです。
ただし、一定の条件を満たす場合は、危険物と非危険物の同時貯蔵が可能になります。
具体的には、屋内貯蔵所または屋外貯蔵所にて、危険物と非危険物をそれぞれとりまとめ、最低1メートル以上の間隔を取ることで、同時貯蔵が認められます。間隔を一定以上空けるのは、火災発生時に火が広がるのを防ぐためです。
また、屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所では、危険物とその他の物品を個別に保管すれば同時貯蔵できます。
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危険物を同時貯蔵する際の注意点
危険物の同時貯蔵に関するルールは、その性質と、万が一事故が発生した際の危険性に基づいて厳しく定められています。
一般的に、危険物はそれぞれ特定の類に分類され、同じ類のものであれば同時貯蔵が可能です。同時貯蔵が可能な例としては、灯油と軽油が挙げられます。
一方で、異なる類の危険物を同一の場所に貯蔵することは、基本的に許可されていません。
この規制の背景には、性質の違う危険物が同時に存在する場合、予期せぬ反応が発生し事故が発生する可能性が高まるという理由があります。
危険物の類ごとに消火方法が異なるため、同時貯蔵だと火災が発生した際の鎮火が困難になるというのも理由の一つです。
それでも『危険物の規制に関する政令』の第26条により、特定の条件下では例外的に同時貯蔵が認められています。
具体的には、屋内貯蔵所や屋外貯蔵所で危険物を類ごとにまとめて保管したうえで、それらの間隔が1メートル以上離れていれば、同時貯蔵が可能です。この規定は、危険物の柔軟な管理・取り扱いを実現するために設けられています。
ただし、このような例外的なケースでも、安全管理の基本を守り、危険物の特性とリスクを正しく理解したうえで取り扱うことが重要であることは変わりません。
危険物を保管する際の規定と例外の内容を適切に理解し適用することが、事故の発生防止と作業環境の安全維持につながるのです。
関連記事:消防法とは?基本内容と罰則についてわかりやすく紹介
危険物を同時貯蔵できる施設は?
異なる類の危険物を同時貯蔵できるかどうかを、貯蔵施設の種類ごとに整理しました。
貯蔵施設の種類 |
異なる類の危険物の同時貯蔵が可能か |
特記事項 |
屋外貯蔵所 |
条件付きで可能 |
適切な安全措置を講じる必要がある |
屋内貯蔵所 |
条件付きで可能 |
適切な安全措置を講じる必要がある |
屋外タンク貯蔵所 |
不可 |
特定の危険物の保管に特化している |
屋内タンク貯蔵所 |
不可 |
特定の危険物の保管に特化している |
地下タンク貯蔵所 |
不可 |
特定の危険物の保管に特化している |
この表からもわかるように、屋外貯蔵所と屋内貯蔵所では、条件を満たせば異なる類の危険物を同時貯蔵できます。
しかし、屋外・屋内タンク貯蔵所や地下タンク貯蔵所では、異なる類の危険物の同時貯蔵は許可されていません。これらの施設は、特定の危険物を安全に保管するのに特化しているためです。
いずれの施設でも、危険物を安全に保管するためには、その物質の性質を十分に理解し適切な安全管理措置を取ることが重要になります。
関連記事:危険物の屋内貯蔵所とは?屋内タンク貯蔵所との違いについても解説
危険物を安全に同時貯蔵する方法
危険物を同時貯蔵する際は、厳格な規制に従う必要があるうえに、危険物の特性に対する深い造詣も必要となります。
また、特別な条件を満たした場合に限り、屋内・屋外貯蔵所で危険物を同時貯蔵することが可能ですが、ほかの種類の施設では認められていません。どの施設においても、危険物の特性を十分に把握し、適切な安全対策を施すことが最優先事項です。
類の異なる危険物を同時貯蔵する際は、定められた基準を守ることで、作業環境の安全を維持し事故を未然に防ぐことができます。
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